17 乳歯の外傷に関する臨床的研究―第6報 経過観察された埋入乳歯の後継永久歯萌出後までの臨床経過について
乳歯が受ける外傷のうち, 埋入は比較的高率で観察されるが, その治療法はいまだに確立されていない. 当教室では既に外傷を受けた乳歯の後継永久歯萌出までの経過を報告したが1)ここでは埋入歯は整復固定や抜歯をうけていた. その後, 埋入歯は再萌出するとの報告もあったことから2), 次報では, 矢状面方向において後継永久歯歯胚に向うことなく埋入した乳歯に対して, 整復固定を行わずに, 感染予防と衛生管理のみで経過観察としたところ, 全症例が再萌出したことを報告した3). この症例のうち, 今回は後継永久歯の萌出後まで経過観察できた10名12歯(男児7名, 女児3名)について, 後継歯の萌出や歯質形成...
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Veröffentlicht in: | 小児歯科学雑誌 1996, Vol.34 (1), p.307-307 |
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Hauptverfasser: | , , , , |
Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 乳歯が受ける外傷のうち, 埋入は比較的高率で観察されるが, その治療法はいまだに確立されていない. 当教室では既に外傷を受けた乳歯の後継永久歯萌出までの経過を報告したが1)ここでは埋入歯は整復固定や抜歯をうけていた. その後, 埋入歯は再萌出するとの報告もあったことから2), 次報では, 矢状面方向において後継永久歯歯胚に向うことなく埋入した乳歯に対して, 整復固定を行わずに, 感染予防と衛生管理のみで経過観察としたところ, 全症例が再萌出したことを報告した3). この症例のうち, 今回は後継永久歯の萌出後まで経過観察できた10名12歯(男児7名, 女児3名)について, 後継歯の萌出や歯質形成上の異常の有無などもふくめた臨床経過を平均5年5か月にわたり観察し, 埋入乳歯への処置法を検討した. 埋入乳歯は経過観察中に, 歯髄腔狭窄は7歯, 歯髄壊死や歯根膜炎が6歯に認められたが, 変色はこれらの異常がなかった1歯を含む11歯に見られた. 骨性癒着は観察されなかった. 2歯はのちに歯内治療を要し, 4歯は歯周炎のため抜歯となった. 3歯は再受傷や齲蝕による歯髄壊死に陥り, 以後の経過は評価からはずした. 後継永久歯の萌出はほぼ順調で6歯(66%)が白斑や黄斑, 浅いエナメル質陥凹など軽度の形成不全所見を伴ったが, これは前々回報告の整復固定症例1)に比べやや良好な結果であった. したがって, 埋入乳歯は少なくとも上記の適応症の範囲においては経過観察としてよいと考えた. |
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ISSN: | 0583-1199 |