乳歯感染根管における根管象牙質内への細菌侵入について: 透過型電子顕微鏡による観察
根尖性歯周炎あるいはそれに伴う歯根の病的異常吸収により,保存不可能と診断され抜去されたヒト乳歯3歯について,光学顕微鏡および透過型電子顕微鏡により観察を行い,以下の結果を得た. 1)多量の細菌(塊)が,根管内,特に根管に張り付くように観察された. 2)根管壁象牙質への細菌の侵入は,3歯とも,歯冠側1/3では著明に,また歯根中央1/3においては,1歯を除いて細菌侵入が認められた. しかし,残存している根尖部においては,3歯とも象牙質への細菌侵入は認められなかった. 3)以上のことより,乳歯において,根尖領域の象牙質内に細菌が侵入するより早く,根尖周囲や分岐部に病巣が成立し,進行する可能性が示唆さ...
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Veröffentlicht in: | 小児歯科学雑誌 1995/06/25, Vol.33(3), pp.581-593 |
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Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Schlagworte: | |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 根尖性歯周炎あるいはそれに伴う歯根の病的異常吸収により,保存不可能と診断され抜去されたヒト乳歯3歯について,光学顕微鏡および透過型電子顕微鏡により観察を行い,以下の結果を得た. 1)多量の細菌(塊)が,根管内,特に根管に張り付くように観察された. 2)根管壁象牙質への細菌の侵入は,3歯とも,歯冠側1/3では著明に,また歯根中央1/3においては,1歯を除いて細菌侵入が認められた. しかし,残存している根尖部においては,3歯とも象牙質への細菌侵入は認められなかった. 3)以上のことより,乳歯において,根尖領域の象牙質内に細菌が侵入するより早く,根尖周囲や分岐部に病巣が成立し,進行する可能性が示唆された. 4)透過型電子顕微鏡による根尖領域の観察において,象牙細管壁に電子線不透過な物質の不規則な沈着が観察された. この物質が何であるかについては明らかにできなかったが,根尖領域の感染および炎症と密接な関係があるものと考えられた. 5)根尖領域の根管壁に,部分的なセメント質様組織の添加が観察され,病的異常吸収過程においても修復機構の存在が明らかになった. |
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ISSN: | 0583-1199 2186-5078 |
DOI: | 10.11411/jspd1963.33.3_581 |