虚弱下顎頭に対する高カルシウム食療法 とくに牛骨粉について

小児期の顎口腔領域に関心が高まっている現在,カルシウム摂取が顎骨にどのような影響を与えるかを知ることは重要である.著者らは生後3週齢のWistar系雄ラットにカルシウム欠乏食を与え骨虚弱状態を惹起後,カルシウム含有量の高い牛骨粉と標準食を与え成長期下顎頭に及ぼす影響について検索し,次のような結果を得た. 1.X線学的所見についてみると,高カルシウム食投与により下顎頭の形態は大きさを増し,骨梁の増加,走行の規則化が著明となった. 2.X線マイクロアナライザーについてみると,相対Ca量比,相対P量比はカルシウム欠乏食群が最小値をとり,カルシウム欠乏食・高カルシウム食群では対照群に近い値をとった....

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Veröffentlicht in:小児歯科学雑誌 1994/06/25, Vol.32(3), pp.552-565
Hauptverfasser: 牧, 憲司, 葛, 立宏, 吉永, 久秋, 竹下, 尚利, 松田, 容士子, 木村, 光孝
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:小児期の顎口腔領域に関心が高まっている現在,カルシウム摂取が顎骨にどのような影響を与えるかを知ることは重要である.著者らは生後3週齢のWistar系雄ラットにカルシウム欠乏食を与え骨虚弱状態を惹起後,カルシウム含有量の高い牛骨粉と標準食を与え成長期下顎頭に及ぼす影響について検索し,次のような結果を得た. 1.X線学的所見についてみると,高カルシウム食投与により下顎頭の形態は大きさを増し,骨梁の増加,走行の規則化が著明となった. 2.X線マイクロアナライザーについてみると,相対Ca量比,相対P量比はカルシウム欠乏食群が最小値をとり,カルシウム欠乏食・高カルシウム食群では対照群に近い値をとった. 3.病理組織所見についてみると,高カルシウム食投与により軟骨細胞層の各区分が不明瞭となり,肥大帯軟骨細胞は減少しその周囲の石灰化基質は増加していた.また骨梁の形成も活発に多く認められたが,その幅は対照群と比較すると細く十分な状態ではなかった. 4.走査電子顕微鏡についてみると,高カルシウム食投与により,軟骨層は薄くなり,骨梁の形成も活発で幅は広くなっていた.しかし対照群と比較すると,骨梁はいまだ細く十分な回復状態ではなかった. 以上のことからカルシウム欠乏により骨虚弱状態に陥った成長期下顎頭に牛骨粉投与は骨構築促進効果は認められるが,完全な回復は困難であることが判明した.
ISSN:0583-1199
2186-5078
DOI:10.11411/jspd1963.32.3_552