9 外傷により脱落した永久歯の臨床的経過観察

外傷により脱落を来たした永久歯の予後について個々の症例の経過を詳細に調査し, 受傷状態および処置方法と予後との関連性を検索した. 対象は永久歯外傷を主訴として本学千葉病院小児歯科臨床を訪れた患児の中で永久歯脱落を来たした患部22名の26歯である. 脱落に対する処置は, 26歯中18歯に再植固定が施され, これら症例に対する処置後経過観察を行った期間は最短4ヵ月から最長8年4ヵ月, 平均3年2ヵ月であった. 脱落に対する再植固定後の経過観察中, 処置後1ヵ月から1年11ヵ月までの間に, 様々な程度と範囲の歯根吸収が, 18歯すべてに認められた. 最終観察時における歯根吸収程度を1度から4度の4つ...

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Veröffentlicht in:小児歯科学雑誌 1994, Vol.32 (1), p.206-206
Hauptverfasser: 坂井恵美, 張紀美, 藤居弘通, 町田幸雄
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:外傷により脱落を来たした永久歯の予後について個々の症例の経過を詳細に調査し, 受傷状態および処置方法と予後との関連性を検索した. 対象は永久歯外傷を主訴として本学千葉病院小児歯科臨床を訪れた患児の中で永久歯脱落を来たした患部22名の26歯である. 脱落に対する処置は, 26歯中18歯に再植固定が施され, これら症例に対する処置後経過観察を行った期間は最短4ヵ月から最長8年4ヵ月, 平均3年2ヵ月であった. 脱落に対する再植固定後の経過観察中, 処置後1ヵ月から1年11ヵ月までの間に, 様々な程度と範囲の歯根吸収が, 18歯すべてに認められた. 最終観察時における歯根吸収程度を1度から4度の4つに分類したところ, 1度が7歯, 2度が2歯, 3度が4歯, 4度が5歯であり, 吸収程度3度及び4度の歯牙のうち4歯は保存不可能なため抜去され, 2歯は自然脱落した. 歯根吸収は観察期間の延長とともに進行する傾向が認められた. 保存方法についてみると, 乾燥状態にあったもののほうが歯根吸収が強度となる傾向が認められた. 5年以上経過症例のうち, 比較的吸収が少なく最終観察時においても口腔内でその機能を果たしていると判定された症例は, 再植処置までの経過時間が比較的短時間であり, 牛乳や生食液などで保存されていたものであった. 以上のことから, 外傷により脱落した永久歯の再植処置は, 受傷から処置までの時間を可能な限り短縮し, 適切な処置法の確立とともに患者や保護者には脱落歯牙を適切に保存するように指導することが必要であると考えられた.
ISSN:0583-1199