口唇口蓋裂児の早期療育に関する研究: 第1報 早期指導システム,出生時家族カウンセリングと初診時実態について

北九州市立総合療育センターにおける口唇口蓋裂早期指導システムを概説し,出生時家族カウンセリングの重要性に関して説明と考察を行った.また初診時の実態について報告した. 1)当システムを受診した口唇口蓋裂児は118名で,その中の114名にHotz床を装着した.生後1ヵ月以内に44例(35.1%)が受診している. 2)受診主訴は「哺乳障害」が最も多く46例,40%近くを占めた.紹介経路では総合病院のNICUや産院が多かった. 3)出生時の経管栄養経験は全症例の33%にみられた.裂型間には経験の有無の差はなかったが,硬軟口蓋裂が経管使用期間が長かった. 4)初診時の発育状況をカウプ指数でみると,症例の...

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Veröffentlicht in:小児歯科学雑誌 1994/03/25, Vol.32(1), pp.1-13
Hauptverfasser: 武田, 康男, 竹辺, 千恵美, 野中, 歩, 福元, 直美, 平野, 洋子, 堀内, 信子
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:北九州市立総合療育センターにおける口唇口蓋裂早期指導システムを概説し,出生時家族カウンセリングの重要性に関して説明と考察を行った.また初診時の実態について報告した. 1)当システムを受診した口唇口蓋裂児は118名で,その中の114名にHotz床を装着した.生後1ヵ月以内に44例(35.1%)が受診している. 2)受診主訴は「哺乳障害」が最も多く46例,40%近くを占めた.紹介経路では総合病院のNICUや産院が多かった. 3)出生時の経管栄養経験は全症例の33%にみられた.裂型間には経験の有無の差はなかったが,硬軟口蓋裂が経管使用期間が長かった. 4)初診時の発育状況をカウプ指数でみると,症例の25.1%がやせすぎであった. 5)118名中,39名が家族カウンセリングを受けた.カウンセリングは出産日に3例,生後2日目までに16例,10日目までに37例が受けた.参加家族の構成は「両親」16例,「両親と祖父母ほか」13例,「母親のみ」6例であった. 6)出産直後,ストレスの為に不適応状況にある母親と家族に対してはカウンセリングの方法を適用することが大変重要である.カウンセリング時の家族からの質問内容では,「言語」,「手術」,「Hotz床」に関するものが多く,なかでも「言語」を中心とするこどもの発達が家族の最も高い関心事であった. 以上の結果から出産直後の家族カウンセリング,多方面にわたる発達評価と治療を中心とした当センターのシステムは口唇口蓋裂児とその母親や家族にたいする早期指導の一つのモデルを提示していると考える.
ISSN:0583-1199
2186-5078
DOI:10.11411/jspd1963.32.1_1