4歳児に発症した顎関節症の治療例

患児は顎関節症が疑われたため,某歯科医院から本学附属病院小児歯科に紹介された4歳6ヵ月の女児である.機能診査において開閉口運動時に両側の顎関節部より往復性のクリック音が認められた.クリック音は可聴性で,特に閉口時に大きい雑音を示していた.また閉口運動時に下顎はほぼ正中に閉口するものの咬合干渉が認められ,下顎は上顎に対し右側に偏位して咬頭嵌合した. 治療として,まず患児は左手中指と人差し指を反転させ口腔内に挿入するという吸指癖が認められたため,吸指癖抑制の指導および顎の右側滑走を改善する目的での咬合調整を行った.さらに歯冠修復による咬合の再構成を行い咬合の安定を図った結果,顎関節音の消退が認めら...

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Veröffentlicht in:小児歯科学雑誌 1993/12/25, Vol.31(5), pp.958-966
Hauptverfasser: 篠田, 圭司, 蒲生, 健司, 殿内, 真知子, 松下, 繁, 劉, 栄伸, 田村, 康夫
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:患児は顎関節症が疑われたため,某歯科医院から本学附属病院小児歯科に紹介された4歳6ヵ月の女児である.機能診査において開閉口運動時に両側の顎関節部より往復性のクリック音が認められた.クリック音は可聴性で,特に閉口時に大きい雑音を示していた.また閉口運動時に下顎はほぼ正中に閉口するものの咬合干渉が認められ,下顎は上顎に対し右側に偏位して咬頭嵌合した. 治療として,まず患児は左手中指と人差し指を反転させ口腔内に挿入するという吸指癖が認められたため,吸指癖抑制の指導および顎の右側滑走を改善する目的での咬合調整を行った.さらに歯冠修復による咬合の再構成を行い咬合の安定を図った結果,顎関節音の消退が認められた. 以上のことから本症例における顎関節症の発症には吸指癖による顎の偏位,早期接触後の顎の側方滑走が原因し,顎関節部に機能的変化が生じ,顎関節症発症に至ったことが考えられた.
ISSN:0583-1199
2186-5078
DOI:10.11411/jspd1963.31.5_958