5 堺市の保健所における乳幼児歯科保健事業の評価

〈目的〉堺市の保健所では, 近年の乳幼児における齲蝕罹患の増加傾向を改善するため, 平成2年7月から新たな齲蝕予防事業を実施している. 即ち, 1歳6ヵ月児健康診査時に, 齲蝕罹患傾向に関するスクリーニングを行い, その内, 齲蝕罹患傾向が高いと判定される群に対しては2歳時に歯科保健指導を行うというものである. 今回私達は, この齲蝕予防事業の評価を行うため, スクリーニングの的確性と, 2歳時の歯科保健指導の効果に焦点をあてた調査, 分析を実施した. 〈方法〉1. スクリーニング基準:スクリーニングは, 各々のカテゴリーが点数化された生活問診項目の合計点数が13点以上, あるいはカリオスタッ...

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Veröffentlicht in:小児歯科学雑誌 1993, Vol.31 (1), p.187-188
Hauptverfasser: 奥野展子, 山下圭子, 服部真代, 山田美代子, 宮地良子, 村川恵, 出来和代, 黒田千恵, 岸田恭子, 東野佳代子, 安福美昭
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Zusammenfassung:〈目的〉堺市の保健所では, 近年の乳幼児における齲蝕罹患の増加傾向を改善するため, 平成2年7月から新たな齲蝕予防事業を実施している. 即ち, 1歳6ヵ月児健康診査時に, 齲蝕罹患傾向に関するスクリーニングを行い, その内, 齲蝕罹患傾向が高いと判定される群に対しては2歳時に歯科保健指導を行うというものである. 今回私達は, この齲蝕予防事業の評価を行うため, スクリーニングの的確性と, 2歳時の歯科保健指導の効果に焦点をあてた調査, 分析を実施した. 〈方法〉1. スクリーニング基準:スクリーニングは, 各々のカテゴリーが点数化された生活問診項目の合計点数が13点以上, あるいはカリオスタット値が2+以上の者をハイリスク群(以下H群), その他をローリスク群(以下:L群)として判定した. 2. 対象:平成4年2月から同年4月の間に, 堺市の保健所において3歳児健康診査を受診した小児で, 過去において1歳6ヵ月児健康診査も受診した者の内, 情報が得られた718名を対象とした. 〈結果〉L群は61.3%(440名), H群は38.7%(278名)であった. また, H群で2歳時の歯科保健指導を受けた者(以下HF(+)群)は全体の17.5%, 反対に受けなかった者(以下HF(-)群)は21.2%であった. 3歳時の一人平均齲蝕歯数は, L群が1.5, HF(+)群が2.7, さらに, HF(-)群が4.6であった. 一方, 1歳6ヵ月から3歳までの推移をみると, HF(+)群では, HF(-)群に比べて, 統計学的に有意に大きなカリオスタット値の減少量と, 有意に小さな齲蝕歯数の増加量が認められた. これらの結果から, 本事業におけるスクリーニングと2歳時の保健指導の有効性が示唆された.
ISSN:0583-1199