63 歯根吸収組織におけるコラゲナーゼmRNAの発現について

永久歯の萌出に伴い, 乳歯の歯根は吸収される. その際には乳歯歯根と永久歯の歯胚の間に吸収組織と呼ばれる肉芽様の組織が現れ, そこでは破歯細胞, 線維芽細胞, 好中球, マクロファージ, セメント芽細胞などが関わっていると思われる. 中でも破骨細胞によく似た破歯細胞はその中心的役割を担っていると考えられている. 森田らによれば吸収期にある吸収組織を培養した時には組織の周りにあるコラゲンゲルが溶解することが確かめられており, 中性コラゲナーゼが存在することを示唆している. 今回我々は乳歯歯根の吸収組織におけるコラゲナーゼの産生細胞を明らかにするため, In Situ Hybridizationに...

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Veröffentlicht in:小児歯科学雑誌 1992, Vol.30 (1), p.289-289
Hauptverfasser: 岡村毅, 岡田尚子, 高木裕三, 小野博志, 田村正人, 下川仁弥太, 佐々木哲
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:永久歯の萌出に伴い, 乳歯の歯根は吸収される. その際には乳歯歯根と永久歯の歯胚の間に吸収組織と呼ばれる肉芽様の組織が現れ, そこでは破歯細胞, 線維芽細胞, 好中球, マクロファージ, セメント芽細胞などが関わっていると思われる. 中でも破骨細胞によく似た破歯細胞はその中心的役割を担っていると考えられている. 森田らによれば吸収期にある吸収組織を培養した時には組織の周りにあるコラゲンゲルが溶解することが確かめられており, 中性コラゲナーゼが存在することを示唆している. 今回我々は乳歯歯根の吸収組織におけるコラゲナーゼの産生細胞を明らかにするため, In Situ HybridizationによりそのmRNAの発現を検討し, さらに破歯細胞と破骨細胞の異同を明らかとするため, 酒石酸抵抗性酸フォスファターゼ活性(TRAP)を酵素組織学的に検討した. 牛の下顎から吸収組織と歯根を採取し, 固定, 脱灰した後にパラフィン切片を作製した. TRAP活性の検出のためには凍結切片を作製した. ウシコラゲナーゼcDNAよりRNAプローブを作製した. TRAP活性の検出はBurstonの方法に従った. マクロファージ, 線維芽細胞セメント芽細胞だけでなく破歯細胞にもコラゲナーゼmRNAの発現がみられ, 破歯細胞にはTRAP活性もみられた. これらのことからコラゲナーゼは歯根吸収においても重要な役割を演じていると思われる.
ISSN:0583-1199