虚弱骨に対する食餌の影響に関する実験的研究: 歯槽骨の走査電顕的観察

生後3週齢の離乳期に相当するWistar系雄ラットにカルシウム欠乏食を与え,虚弱骨を惹起させた後,食餌療法による歯槽骨に及ぼす影響を走査電顕的に観察し,次のような結論を得た. 1.対照群(標準飼料)では,骨層の内部においては,骨小腔の周囲基質はコラーゲン原線維束,コラーゲン原線維と石灰化球や未石灰化なコラーゲン原線維で形成されていた. 2.カルシウム欠乏食群は,対照群(標準飼料)に比べ広範囲にわたる骨吸収像や骨髄の拡大が見られ虚弱化していた.骨層の内部は骨吸収部の占める部分が多く存在していた.吸収窩底は浅く,境界は不明瞭であった. 3.カルシウム欠乏食・標準食群では,カルシウム欠乏食群に比べ活...

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Veröffentlicht in:小児歯科学雑誌 1991/12/25, Vol.29(4), pp.743-754
Hauptverfasser: 木村, 光孝, 牧, 憲司, 木村, 京子, 松井, 秀成, 週, 適宏, 児玉, 昭資, 宮崎, 圭一
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:生後3週齢の離乳期に相当するWistar系雄ラットにカルシウム欠乏食を与え,虚弱骨を惹起させた後,食餌療法による歯槽骨に及ぼす影響を走査電顕的に観察し,次のような結論を得た. 1.対照群(標準飼料)では,骨層の内部においては,骨小腔の周囲基質はコラーゲン原線維束,コラーゲン原線維と石灰化球や未石灰化なコラーゲン原線維で形成されていた. 2.カルシウム欠乏食群は,対照群(標準飼料)に比べ広範囲にわたる骨吸収像や骨髄の拡大が見られ虚弱化していた.骨層の内部は骨吸収部の占める部分が多く存在していた.吸収窩底は浅く,境界は不明瞭であった. 3.カルシウム欠乏食・標準食群では,カルシウム欠乏食群に比べ活発な骨の改造を呈し,骨層の内部は骨基質形成部では,ほぼ一定方向に走行するコラーゲン原線維束が認められるようになった. 4.カルシウム欠乏食・高カルシウム食群では,大幅に骨髄は縮小し,骨層の内部では,骨のremodelingが行われ,対照群に比べ骨基質形成部は不完全な所見も見られるが,コラーゲン原線維束が豊富に分布していた. 以上のことから,虚弱骨に対する食餌療法はカルシウム欠乏食・高カルシウム食群が最も骨の改造による骨構築は促進されていた.
ISSN:0583-1199
2186-5078
DOI:10.11411/jspd1963.29.4_743