13 稀有なるSolitary bone cyst 1症例

Solitary bone cystは一般に長管骨, 特に上腕骨, 大腿骨, 脛骨などに好発し, 顎骨に発生することは少ない. 一般的にSolitary bone cystの臨床症状はなくX線検査で偶然発見される場合が多い. 最近, 演者らは下顎枝にatypicalなX線透過像を呈し, 珍しい臨床経過をたどった症例を経験したので報告した. 初診時の年齢は, 10歳代から20歳代の若年者に多く, 性別では男性にやや多いとされている. Heabnerらの報告によると無症状のものが61%, 腫脹を呈したものが24%であったと報告している. 本症例は14歳の男性であり, 臨床所見では腫脹が認められた....

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Veröffentlicht in:小児歯科学雑誌 1991, Vol.29 (1), p.257-257
Hauptverfasser: 牧憲司, 内上堀征人, 竹下尚利, 秀島治, 村田真知子, 名越恭子, 木村光孝
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:Solitary bone cystは一般に長管骨, 特に上腕骨, 大腿骨, 脛骨などに好発し, 顎骨に発生することは少ない. 一般的にSolitary bone cystの臨床症状はなくX線検査で偶然発見される場合が多い. 最近, 演者らは下顎枝にatypicalなX線透過像を呈し, 珍しい臨床経過をたどった症例を経験したので報告した. 初診時の年齢は, 10歳代から20歳代の若年者に多く, 性別では男性にやや多いとされている. Heabnerらの報告によると無症状のものが61%, 腫脹を呈したものが24%であったと報告している. 本症例は14歳の男性であり, 臨床所見では腫脹が認められた. 発生部位はCardnerらと池島らは90%が下顎に発生すると述べている. また, Howeは下顎前歯から大臼歯の歯列直下に比較的多く発生する傾向があると報告している. 今回報告した症例のように下顎枝に発生した頻度は非常に少ない. X線所見についてはSolitary bone cystにおいては, 境界明瞭な単房性X線透過像を呈し, 歯列直下の大きなものは帆立貝状の形態を呈する. 本症例のように多房性でしかも隔壁がやや直線状を呈するX線像は, 文献的に述べられている所見とはやや異なっていた. Solitary bone cystの処置については, 屋形らは開窓療法を主張し, 岩崎らは外科的摘出療法が必要であると述べている本症例のようにbiopsy後に自然治癒をたどった例は少なく, 処置法にもさらに検討する必要があると考えられた. 下顎枝における多房性のX線透過像の鑑別診断としていくつか考えられるが, 臨床症状の程度, 骨膨隆の状態, X線所見などからある程度は鑑別できる. 今回遭遇したような症例は大変稀有なる症例であった.
ISSN:0583-1199