1 歯科診療時の循環動態に関する研究―Finapres 2300による解析

歯科治療時において老人や小児の循環器系疾患患者の血圧測定は臨床をスムーズに行うためには不可欠である. 外来診療において, 観血的方法を行う事はその侵襲の大きさや副作用を考えれば全ての症例に応用することは不可能である. そこで従来では聴診法が行われていたが, 最近, 診療時に簡便に使用できる連続自動血圧計フィナプレスは, 非観血的かつ瞬時に血圧, 心指数を測定出来るため, 歯科外来治療にも容易に適用でき, 患者の循環動態を観察出来る様になった. 今回, 演者らは健康な小児にレジン修復, 生活歯髄切断法, 乳歯既製冠, 根管治療, 抜歯, 外科処置それぞれの処置を行い, その時の循環動態をフィナプ...

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Veröffentlicht in:小児歯科学雑誌 1991, Vol.29 (1), p.224-224
Hauptverfasser: 難波比呂志, 山崎一郎, 岩田盛満, 深谷芳行, 大島信一, 宮沢裕夫, 今西孝博
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:歯科治療時において老人や小児の循環器系疾患患者の血圧測定は臨床をスムーズに行うためには不可欠である. 外来診療において, 観血的方法を行う事はその侵襲の大きさや副作用を考えれば全ての症例に応用することは不可能である. そこで従来では聴診法が行われていたが, 最近, 診療時に簡便に使用できる連続自動血圧計フィナプレスは, 非観血的かつ瞬時に血圧, 心指数を測定出来るため, 歯科外来治療にも容易に適用でき, 患者の循環動態を観察出来る様になった. 今回, 演者らは健康な小児にレジン修復, 生活歯髄切断法, 乳歯既製冠, 根管治療, 抜歯, 外科処置それぞれの処置を行い, その時の循環動態をフィナプレスにて測定, 記録する事より患児に与える侵襲や不快を推定し, トレーニングから治療まで, 取り扱い上の指標を確立する事を目的に検討を行った. 対象は, 4歳~9歳までの比較的Behabiorの良好な患児で, 測定はコンパクトルームを使用し, 診療中は出来るだけコミュニケーションはとらなかった. その結果, 症例のほとんどが局所麻酔時に, 血圧または心拍数の上昇が認められ, その他エアータービンを用いた形成や研磨時に上昇した. これらは歯科治療に対する患児の恐怖感に起因するものと考えられた. また, 乳歯既製冠の試適や合着, 歯肉溝内の余剰セメントの除去, 抜歯時の歯周靭帯の切断や脱臼, そしてラバーダム防湿, マトリックスバンド装着時にも血圧や心拍数の上昇が認められた. これらは患児への侵襲に起因するものと考えられる. このように処置の内容によって患児に与える侵襲や不快は様々であることを初診時の治療計画において配慮することも, その後の取り扱いにとって重要であり, トレーニングにおいてもそれぞれの器具が与える恐怖, 不安のレベルを考慮することが有効であると考える.
ISSN:0583-1199