7 超音波振動による乳歯根管洗浄の臨床効果について 第1報
乳歯の感染根管治療において, 根管清掃は乳歯の根管形態を考えると, リーマー・ファイルによる機械的拡大では, 施術野が狭いため十分な拡大ができず, また, ミニウムシリンジを用いた交互洗浄法では, 分岐根管や測枝の化学的清掃において十分な効果が得られにくいと思われる. 近年, 機械的根管拡大に超音波の利用が検討されているが, 超音波の応用は根管壁の切削のみならず根管内の洗浄効果も十分期待できる. 特に, 超音波を使用した場合のチップの振動は, 根管内でキャビテーション効果を発揮させ, 洗浄液の環流も加わり, 根管を効果的に清掃することができる. 今回演者らは, 新潟大学歯学部附属病院小児歯科外...
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Veröffentlicht in: | 小児歯科学雑誌 1991, Vol.29 (1), p.200-200 |
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Hauptverfasser: | , |
Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 乳歯の感染根管治療において, 根管清掃は乳歯の根管形態を考えると, リーマー・ファイルによる機械的拡大では, 施術野が狭いため十分な拡大ができず, また, ミニウムシリンジを用いた交互洗浄法では, 分岐根管や測枝の化学的清掃において十分な効果が得られにくいと思われる. 近年, 機械的根管拡大に超音波の利用が検討されているが, 超音波の応用は根管壁の切削のみならず根管内の洗浄効果も十分期待できる. 特に, 超音波を使用した場合のチップの振動は, 根管内でキャビテーション効果を発揮させ, 洗浄液の環流も加わり, 根管を効果的に清掃することができる. 今回演者らは, 新潟大学歯学部附属病院小児歯科外来に来院し, 治療に対して協力的な患児(男児9名, 女児11名, 平均年齢6歳0カ月)のうち, 乳臼歯部頬側または舌側歯肉に歯肉膿瘍を形成しており, 疼痛などの急性症状を伴わず, 感染歯質を除去後, 髄床底などに穿孔が見られず, レントゲン所見において歯根の吸収が1/3以下で, 病巣が永久歯胚にまで及んでいない乳臼歯26画面対して超音波による根管洗浄を行った. その結果, 治療開始から根充までの治療回数は, 2回のものが17例, 3回のものが9例で, 4回以上かかった症例はなかった. 黒須の慢性化膿性歯周組織炎の治療回数の平均が4.3回であるという報告に比較すると, 今回の調査では平均が2.3回目約2回治療回数が少なかった. さらに, 初回リコール時のレントゲン写真において, 歯根や根充剤に変化がみられたが, 歯肉膿瘍の再発などの臨床症状を呈した症例はなかった. 今回の調査の結果, 超音波振動を用いた根管洗浄法を乳歯の感染根管治療に使用することで治療回数が減り, 予後も良好であることが分かったが, 今回の調査では, 後継永久歯の萌出までは確認できていないため, 今後引き続き調査を行っていく予定である. |
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ISSN: | 0583-1199 |