C-2-12 先天代謝異常に伴って発症する歯の形成異常

これまでに報告されている先天代謝異常症の他に, 歯牙形成異常を伴う先天代謝異常があるか, あるとすればどの疾患にどのくらいの頻度で歯牙形成異常が発症するかを知る目的で, 徳島大学医学部小児科代謝異常外来を受診した5ヵ月から15歳5ヵ月までの小児21名について視診による口腔検診を行なった. また, ビタミンD依存性くる病II型の小児3名(前記21名には含まれない)について, 視診, X線診, 口腔模型計測および抜去歯の組織学的観察等から, 本疾患による口腔領域の病理像を精査し, 歯科的予防, 治療法について考察した. 21名の先天代謝異常症患児のうち, エナメル質形成不全があった, あるいはそれ...

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Veröffentlicht in:小児歯科学雑誌 1990, Vol.28 (3), p.889-889
Hauptverfasser: 鎌田浩二, 木内晶子, 阿部典子, 三木真弓, 菊地賢司, 有田憲司, 西野瑞穂
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:これまでに報告されている先天代謝異常症の他に, 歯牙形成異常を伴う先天代謝異常があるか, あるとすればどの疾患にどのくらいの頻度で歯牙形成異常が発症するかを知る目的で, 徳島大学医学部小児科代謝異常外来を受診した5ヵ月から15歳5ヵ月までの小児21名について視診による口腔検診を行なった. また, ビタミンD依存性くる病II型の小児3名(前記21名には含まれない)について, 視診, X線診, 口腔模型計測および抜去歯の組織学的観察等から, 本疾患による口腔領域の病理像を精査し, 歯科的予防, 治療法について考察した. 21名の先天代謝異常症患児のうち, エナメル質形成不全があった, あるいはそれが疑われたものはヒスチジン血症7名のうちの6名, GM1-ガングリオシドーシス1名, ホモシスチン尿症2名のうちの1名であった. ヒスチジン血症ではエナメル質形成不全は軽度ではあるがその頻度から, GM1-ガングリオシドーシスはその重症度から, これらの疾患とエナメル質形成不全との関連が強く示唆された. ビタミンD依存性くる病II型の3症例では早期の脱毛, 血液生化学的所見の異常, およびO脚, 関節膨隆などのくる病所見を呈していたが, これらの症状は脱毛を除き, 1α-hydroxy vitamin D3および乳酸カルシウムの大量投与により改善した. 歯科的には, 著しく広い歯髄腔と, 菲薄で球間象牙質の多量みられる形成の不全な象牙質を有することが明らかになり, いったん齲蝕が発生すればすみやかに歯髄炎に移行しやすいため, 乳児期より徹底した口腔保健指導を行なう必要のあることが示唆された. 全身的くる病治療が効を奏すれば, 乳歯の歯髄腔は正常の大きさとなり, 永久歯や顎の発育にも特に異常は認められないことが観察された. また, 本疾患では, 低リン血性ビタミンD抵抗性くる病のように, 乳歯エナメル質に歯髄角から歯表面に至る形成不全は認められないと推測され, 早期の予防的全部被覆歯冠修復は必要ではない.
ISSN:0583-1199