B-1-17 ヒト乳歯歯根膜由来線維芽細胞による増殖調節因子の産生について
(目的)乳歯歯周組織の成長と形成過程を研究することは小児歯科領域にとって必須のテーマである. 我々は, ヒト乳歯歯根膜由来線維芽細胞(HPLF-Y)を培養し, 得られたconditioned medium(CM)中に遊離される細胞の増殖, 分化を調節する因子の存在について検索を行った. (方法)咬合誘導上の目的で抜去した歯根2/3以上残存する乳歯より, 川瀬ら(Adv. Dent. Res 1988)の方法に従い歯根膜組織を採取し, 組織片よりmigrateした細胞を継代培養し, HPLF-Yを得た. このうち5~9代の継代細胞を1×106個/100mm dishの細胞密度で, inocula...
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Veröffentlicht in: | 小児歯科学雑誌 1990, Vol.28 (3), p.825-825 |
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Hauptverfasser: | , , , , |
Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | (目的)乳歯歯周組織の成長と形成過程を研究することは小児歯科領域にとって必須のテーマである. 我々は, ヒト乳歯歯根膜由来線維芽細胞(HPLF-Y)を培養し, 得られたconditioned medium(CM)中に遊離される細胞の増殖, 分化を調節する因子の存在について検索を行った. (方法)咬合誘導上の目的で抜去した歯根2/3以上残存する乳歯より, 川瀬ら(Adv. Dent. Res 1988)の方法に従い歯根膜組織を採取し, 組織片よりmigrateした細胞を継代培養し, HPLF-Yを得た. このうち5~9代の継代細胞を1×106個/100mm dishの細胞密度で, inoculateし. 2mg/ml dialyzed fetal calf serum protein, 50μg/ml ascorbic acidを含むD-MEM中で行った. 6日間培養後(confluent状態)serum-free DMEMに変換し, さらにこれを採取したものをCMとし以下のassayが行われた. すなわち, アルカリフォスファターゼ(ALP)活性, 3H-thymidineの取り込み, DNA量, cell attachmentとcell spreadingについて検索を行った. (結果と考察)confluent phaseのHPLF-Yより得られたCMをquiescent cellに添加し3H-thymidineの取り込みを測定した所, 血清の存在下では, 50%CMでcontrolの約3倍に上昇した. これは, 細胞増殖においてprogression factorとして作用したものと考えられる. 次にCMをSephacryl s300を使用し分画すると, ALP活性はFraction 2(分子量67000前後)50%CMを添加することにより, 約1/3に低下した. また, CMを高速液体クロマトグラフィー(Po 60K)で分画し, 表面未処理のhydrophobic plateに, 得られた各fractionを添加したところ分子量1万前後で, Cell spreadingが認められた. 以上のことから, HPLF-Yから明らかに細胞増殖および細胞分化を調節する因子の分泌が示唆された. |
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ISSN: | 0583-1199 |