B-2-37 Fragile X症候群の口腔所見について

Fragile X症候群は精神遅滞を示す染色体異常として, 最近本邦のみならず諸外国においても注目されている. fragile X症候群の特徴はX染色体長腕の未端部Xq 27にfragile site(染色体脆弱部位)が存在し, X連鎖性の精神遅滞を認めることである. 本症の頻度は原因の明らかな精神遅滞の中においては, Down症に次ぐ頻度で, 遺伝性のものでは最も高頻度の疾病と言われている. 顔貌の特筆としては長い顔, 突出した眼窩上縁, 大きい耳などがあげられているが, これらの症状すべてが表われるとは限らず, 顔貌のみで判断することは容易でない. また思春期以後においては巨大睾丸を認める...

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Veröffentlicht in:小児歯科学雑誌 1989, Vol.27 (3), p.809-809
Hauptverfasser: 高田富博, 皆川公延, 高島敬忠, 岡田太皓, 碧井猛, 武井謙司, 八坂篤
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:Fragile X症候群は精神遅滞を示す染色体異常として, 最近本邦のみならず諸外国においても注目されている. fragile X症候群の特徴はX染色体長腕の未端部Xq 27にfragile site(染色体脆弱部位)が存在し, X連鎖性の精神遅滞を認めることである. 本症の頻度は原因の明らかな精神遅滞の中においては, Down症に次ぐ頻度で, 遺伝性のものでは最も高頻度の疾病と言われている. 顔貌の特筆としては長い顔, 突出した眼窩上縁, 大きい耳などがあげられているが, これらの症状すべてが表われるとは限らず, 顔貌のみで判断することは容易でない. また思春期以後においては巨大睾丸を認めることがある. 我々は埼玉県立コロニー嵐山郷における入所患暗者, 男性151名を対象にfragile X症候群の検索を行った. fragile X染色体の検出には特殊な培養条件が必要となるが我々は, 1)葉酸の含まれない培地で培養する方法, 2)チミジンを添加する方法, の2種類の方法を用い, fragile X細胞出現率4%以上をfragile siteありと認めた. この結果2名の本症候群患者が検出されたので, その頻度1: 1.3%であった. 身体所見においては巨大睾丸が2例ともに認められた. また両症例ともにてんかんを持ち, これまでの本症候群患者にはあまり報告されていないので興味深い. 口腔所見については多くの歯牙が高度の翻蝕により保存不可能のため抜去されており, 残存する歯牙にて観察した. 第1症例において右側上顎第二大臼歯に臼傍結節が認められ, 右側大臼歯部は交叉咬合を呈していた. 障害者に比較的多いと言われている円錐歯, 矮小歯は両症例ともに認められなかった. またこれまでの報告にある高口蓋と考えられる所見や有意な咬耗の所見は観察されなかった. その他の軟組織, 硬組織疾患は認められなかった.
ISSN:0583-1199