B-2-10 小児の歯科診療時の母親の眼球運動について

母親が小児の歯科受診場面をどのように認知していくかについて, ビジコンアイカメラ装置を用いて眼球運動の測定を行い, 分析, 検討した. 被験者は, 本学小児歯科に来院し治療中の小児患者の母親5名で, いずれも実験に支障をきたさない程度の視力を有する者である. 今回は, 30秒づつ, 3つの異なったテスト映像を作製し, 各々のテスト映像の母親の眼球運動について, 初回注視部位, 走査路, 停留部位, 停留時間, 停留回数, 応動時間を求めた. 初回注視部位は, 3つのテスト映像とも歯科衛生士の左腕に多くみられた. これは, 歯科衛生士の左腕がテスト映像上で水平方向の中心位置にあること, また,...

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Veröffentlicht in:小児歯科学雑誌 1989, Vol.27 (3), p.795-796
Hauptverfasser: 成田恵理子, 関直樹, 下岡正八
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:母親が小児の歯科受診場面をどのように認知していくかについて, ビジコンアイカメラ装置を用いて眼球運動の測定を行い, 分析, 検討した. 被験者は, 本学小児歯科に来院し治療中の小児患者の母親5名で, いずれも実験に支障をきたさない程度の視力を有する者である. 今回は, 30秒づつ, 3つの異なったテスト映像を作製し, 各々のテスト映像の母親の眼球運動について, 初回注視部位, 走査路, 停留部位, 停留時間, 停留回数, 応動時間を求めた. 初回注視部位は, 3つのテスト映像とも歯科衛生士の左腕に多くみられた. これは, 歯科衛生士の左腕がテスト映像上で水平方向の中心位置にあること, また, 被験者には歯科衛生士の手が見えないことなどからこの様な結果になったものと思われる. 今回得られた走査路は, 母親がある一定のパターン認識をしているかどうかは明確にはいえないが, 停留点を環状に動く場合と, 停留点の間を往復する場合がみられた. 停留部位は, テスト映像No. 1, 2, 3とも術者の顔, 歯科衛生士の顔, 謡言の口腔周囲に多く認められた. 停留時間は, テスト映像No. 1, 2, 3において, 患児の口腔周囲に最も長く認められた. この様に母親の視点は, 歯科診療場面において, 小児の口腔周囲に集中していた. この部位は, 術者が診査を行っている部位であり, 映像中でも特に連続して動きのみられる部位であるためと考えられる. 停留時間の多い部位は, 停留回数も多い傾向を示した. 応動時間では, 5名中3名に応動を示さないことがあった. 母親が情報を収集する部位は, これまで得られた術者, アシスタントのものと大きな差は認められなかった. しかし, 本実験での母親の眼球運動において, 周辺視によって何らかの情報を得ようとしている行動が見られたので今後, 周辺視の問題についても研究をすすめて行く予定である.
ISSN:0583-1199