B-1-16 グルタルアルデヒドおよびホルマリンがラット歯髄プロスタグランジ生合成に及ぼす影響について
我々は, 炎症の場に関与し, また, 象牙質の形成吸収にも関与すると考えられているプロスタグランジン(PG)が, 断髄の予後不良例にみられる歯髄の炎症の存続, 内部吸収の発生などの変化に関与するのではないかと考え, 断髄後の歯髄におけるPG生成量の経時的変化及び薬剤による差を検討した. 材料と方法1)ラットの下顎切歯を歯頸部で切断し, 一部歯髄を除去後, 髄腔内に2%グルタルアルデヒド(GA), ホルマリングアヤコール(FG), 生食水のいずれか2μを注入し封鎖した. 術後1, 24時間, 3, 7, 21日に各グループ6歯ずつ歯髄を摘出し, buffer中にて37℃ 30分間インキュベートし...
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Veröffentlicht in: | 小児歯科学雑誌 1989, Vol.27 (3), p.752-752 |
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Hauptverfasser: | , , , |
Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 我々は, 炎症の場に関与し, また, 象牙質の形成吸収にも関与すると考えられているプロスタグランジン(PG)が, 断髄の予後不良例にみられる歯髄の炎症の存続, 内部吸収の発生などの変化に関与するのではないかと考え, 断髄後の歯髄におけるPG生成量の経時的変化及び薬剤による差を検討した. 材料と方法1)ラットの下顎切歯を歯頸部で切断し, 一部歯髄を除去後, 髄腔内に2%グルタルアルデヒド(GA), ホルマリングアヤコール(FG), 生食水のいずれか2μを注入し封鎖した. 術後1, 24時間, 3, 7, 21日に各グループ6歯ずつ歯髄を摘出し, buffer中にて37℃ 30分間インキュベートした. 一定量のメジウムを採取し, PGI2およびTXA2の安定分解産物である6-Keto-PGF1αおよびTXB2として, ラジオインムノアッセイによりPGを定量した. 2)ラット切歯より歯髄を摘出し, buffer中にホルムアルデヒド(FA)またはGA(50-1000μM)を加えて1)と同様にPGの定量を行った. 結果と考察PG生合成の経時的変化には, 生食水, FG, GA共通のパターンがみられ, 24時間後にピークがあった. 24時間後には生食水のみが正常歯髄と比較してPGI2が有意に高値を示した. これは断髄時の機械的刺激によるものと思われ, FGとGAではPGI2増加の程度が歯顎表層の固定によって抑制されるのではないかと考えられる. また21日後では, GAではPG生合成は生食水と同程度であったがFGでは高値を示した. これは, 演者が過去に報告したようにGA貼付症例よりFG貼付症例で歯髄の炎症の存続するものが多いことを反映する結果と思われる. FG, GAともいずれも低濃度ではPG生合成の促進, 高濃度では抑制がみられ二相性の変化を示した. FA, GAは, 蛋白凝固作用を有するので, 高濃度での抑制は, PG合成酵素に対する非可逆的な作用によるであろう. 抑制の程度の違いにはFAとGAの組織浸透性の違いが影響していると思われる. |
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ISSN: | 0583-1199 |