A-1-14 乳歯癒合歯保有者の歯列発育における臨床的検討

我々は, 下顎乳前歯部に癒合歯を保有した120名を対象とし, その石膏模型の観察から歯列弓の発育と変化を検索し次の結果を得た. 1.乳歯列弓の形態を計測した結果, 下顎C-C間のみならず下顎D-D間にも歯列弓の狭窄は明らかで, さらに上顎のC-C間, D-D間も狭窄を示した. それはAB癒合例よりもBC癒合例に強く現れ, また下顎C-C間には後継永久歯欠如の影響も明らかだった. 2. 混合歯列期80名の歯列弓を計測した結果, 歯列弓の狭窄が明らかであったが, それは癒合部位よりもむしろ, 後継永久歯の欠如歯数が強く影響を示すようになつた. 3. 永久歯列期46名の歯列弓を計測し, 後継永久歯の...

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Veröffentlicht in:小児歯科学雑誌 1989, Vol.27 (3), p.734-734
Hauptverfasser: 印南洋伸, 野坂久美子, 甘利英一
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:我々は, 下顎乳前歯部に癒合歯を保有した120名を対象とし, その石膏模型の観察から歯列弓の発育と変化を検索し次の結果を得た. 1.乳歯列弓の形態を計測した結果, 下顎C-C間のみならず下顎D-D間にも歯列弓の狭窄は明らかで, さらに上顎のC-C間, D-D間も狭窄を示した. それはAB癒合例よりもBC癒合例に強く現れ, また下顎C-C間には後継永久歯欠如の影響も明らかだった. 2. 混合歯列期80名の歯列弓を計測した結果, 歯列弓の狭窄が明らかであったが, それは癒合部位よりもむしろ, 後継永久歯の欠如歯数が強く影響を示すようになつた. 3. 永久歯列期46名の歯列弓を計測し, 後継永久歯の歯数で分類した結果, 全体に歯列弓幅径が小さく, 長径が大きい値を示した. しかし, 男子のBAWが上下顎ともに小さかったのに対し, 女子の上顎BAWは明らかに大きい値を示した. また, 後継永久歯の欠如歯数が多いほど下顎歯列弓は狭窄を強く示した. 4. 永久歯列の咬合状態は, 正常咬合が11例でそのうち8例が下顎前歯1歯欠如群に認めた. 叢生は12例でそのうち女子に9例, 前突は15例でそのうち男子に11例と性差を認めた. また, 下顎前歯2歯先欠の例は全例が前突または過蓋咬合を呈した. 5. 各咬合状態別に歯冠幅径総和を比較すると, 正常例は他症例に比べ明らかに小さい値を示し, なかでも上顎側切歯の歯冠幅径は正常例では小さく, 逆に叢生例で著しく大きかった. 6. 咬合状態別に歯列弓の状態をみると, 上下顎ともに歯列弓幅径が小さい値を示し, 男子においては上下顎BAWも小さい値を示し, 男子に前突の多い理由と思われた. 逆に女子では上顎BAWが大きいものの, 歯冠幅径が全歯種で大きいことが, 叢生例の出現を大きくしているものと考えられた. 以上, 狭窄した歯列弓において下顎前歯1歯欠如は好条件であるが, 対咬する上顎の歯冠幅径が咬合状態を左右することが判明した.
ISSN:0583-1199