低年齢児の歯科治療に際しそばに母親が存在する場合の歯科衛生士実習生の視覚からの認知について
小児の歯科治療時,治療椅子のそばに母親を入室させた場合,母親の顔の表情や態度の変化を歯科衛生士がどのように見て認知するかを知るために,母親が治療椅子のそばでとる行動を映像化して歯科衛生士実習生に観察させた。そして, そのときの眼球運動をビジコンアイカメラを用いて記録,分析し次の結論を得た。 1.テスト映像の全ての情景で,母親の顔,小児の顔,小児の胴,歯科医師の顔を高率に注視した。 2.全ての情景で,観察の前半に母親の顔を高率に注視し,後半に小児の顔,歯科医師の顔を注視していく傾向にあった。 3.母親が不安な顔の表情となる情景では,一注視当たりの注視時間が長くなる傾向を示した。 4.母親の顔の表...
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Veröffentlicht in: | 小児歯科学雑誌 1989/06/25, Vol.27(2), pp.377-394 |
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Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Schlagworte: | |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 小児の歯科治療時,治療椅子のそばに母親を入室させた場合,母親の顔の表情や態度の変化を歯科衛生士がどのように見て認知するかを知るために,母親が治療椅子のそばでとる行動を映像化して歯科衛生士実習生に観察させた。そして, そのときの眼球運動をビジコンアイカメラを用いて記録,分析し次の結論を得た。 1.テスト映像の全ての情景で,母親の顔,小児の顔,小児の胴,歯科医師の顔を高率に注視した。 2.全ての情景で,観察の前半に母親の顔を高率に注視し,後半に小児の顔,歯科医師の顔を注視していく傾向にあった。 3.母親が不安な顔の表情となる情景では,一注視当たりの注視時間が長くなる傾向を示した。 4.母親の顔の表情の変化だけが起こる情景では,第一停留部位は母親の顔,小児の顔,歯科医師の顔となることが多かった。 5.走査路は,母親の顔の表情の変化によっては影響をうけず,むしろ手を握るなど情景に新たな要素が加わることで影響をうけ多様化した。 6.母親が身体の動きを起こした場合,第一停留部位は母親の顔,小児の顔となることが多かった。 7.歯科医師の顔への注視は母親の態度の変化が多くなるほど少なくなる傾向を示し,その存在は暗黙裡に認知されていることが推測された。 8.以上より.母親が治療室に入室する場合,不安を表出させる表情や態度をせずに,静かにリラックスして小児を見守っているならば,歯科衛生士には母親の存在は視覚的に影響を与えないことがわかった。 |
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ISSN: | 0583-1199 2186-5078 |
DOI: | 10.11411/jspd1963.27.2_377 |