7 複雑歯牙腫の一症例
歯牙腫はエナメル質, 象牙質, セメント質などの増殖からなる歯原性の混合腫瘍であり, 歯原性腫瘍の中でも比較的少ないと言われている. 歯牙腫の分類として近年では集合歯牙腫と複雑歯牙腫に大別されている. 歯牙腫は歯牙の萌出遅延, 乳歯晩期残存, 炎症性腫脹及び疼痛, 無痛性膨隆, 歯列不正, 違和感などを主訴として歯科医院を受診し, X線診査によって偶然に発見されることが多いようである. 今回我々は14歳, 男児の上顎前歯部の複雑歯牙腫のために上顎右側中切歯が萌出しなかった症例に遭遇した. 歯牙腫の発生頻度を組織型別にみると, 本症例のように複雑歯牙腫が上顎前歯部に発現したものは稀有であり, さ...
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Veröffentlicht in: | 小児歯科学雑誌 1989, Vol.27 (1), p.288-288 |
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Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 歯牙腫はエナメル質, 象牙質, セメント質などの増殖からなる歯原性の混合腫瘍であり, 歯原性腫瘍の中でも比較的少ないと言われている. 歯牙腫の分類として近年では集合歯牙腫と複雑歯牙腫に大別されている. 歯牙腫は歯牙の萌出遅延, 乳歯晩期残存, 炎症性腫脹及び疼痛, 無痛性膨隆, 歯列不正, 違和感などを主訴として歯科医院を受診し, X線診査によって偶然に発見されることが多いようである. 今回我々は14歳, 男児の上顎前歯部の複雑歯牙腫のために上顎右側中切歯が萌出しなかった症例に遭遇した. 歯牙腫の発生頻度を組織型別にみると, 本症例のように複雑歯牙腫が上顎前歯部に発現したものは稀有であり, さらに本症例は数個の歯牙の埋伏, 欠如を伴なう左側唇口蓋裂手術の既往があるため, 興味ある一症例であると思われる. 処置及び経過は, 上顎左側埋伏乳犬歯, 歯牙腫及び埋伏過剰歯を摘出し, 上顎左側埋伏犬歯の誘導の都合上, 上顎左側中切歯をsectional archによって上顎右側中切歯相当部に誘導し, ほぼ正しい位置まで移動させることができた. 将来の補綴方法は上顎左側犬歯の経過をみて決定する予定であり, 現在も経過観察中である. |
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ISSN: | 0583-1199 |