20 グラスアイオノマーセメント系シーラント材が裂溝部エナメル質の結晶性に与える影響

グラスアイオノマーセメントは歯質との接着性を有し, 粉末に含有するフッ化物が硬化後フッ素イオンとして溶出することから, 齲蝕予防材料として注目され最近では小窩裂溝のシーラント材として本セメントの臨床応用が行われてきている. しかし, 本セメント系シーラントのエナメル質へ与える質的変化を検討した報告は少ない. 今回, 演者らは本シーラントが裂溝部エナメル質の結晶性に与える影響について検討し, さらに前回報告したシーラント直下のエナメル質耐酸性変化に加えシーラント周囲のエナメル質耐酸性変化も合せて検討し報告した. 「実験材料および方法」 1. 裂溝部エナメル質の結晶性変化の検討 小窩裂溝部に白斑,...

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Veröffentlicht in:小児歯科学雑誌 1989, Vol.27 (1), p.274-275
Hauptverfasser: 野原義弘, 若松紀子, 藤居明範, 小泉達哉, 森崎治子, 加藤陽子, 堀口浩, 棚瀬精三, 吉田定宏
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:グラスアイオノマーセメントは歯質との接着性を有し, 粉末に含有するフッ化物が硬化後フッ素イオンとして溶出することから, 齲蝕予防材料として注目され最近では小窩裂溝のシーラント材として本セメントの臨床応用が行われてきている. しかし, 本セメント系シーラントのエナメル質へ与える質的変化を検討した報告は少ない. 今回, 演者らは本シーラントが裂溝部エナメル質の結晶性に与える影響について検討し, さらに前回報告したシーラント直下のエナメル質耐酸性変化に加えシーラント周囲のエナメル質耐酸性変化も合せて検討し報告した. 「実験材料および方法」 1. 裂溝部エナメル質の結晶性変化の検討 小窩裂溝部に白斑, 着色の認められない硬宜抜去小臼歯6歯を用い小窩裂溝部を洗浄後, 近遠心的に2分割しControl側と実験側に分けグラスアイオノマーセメント系シーラント(Fuji ionomer Type III, GC社製)填塞後, 37℃灌流蒸留水中に3週間保存した. その後研磨切片を作成し, 微小焦点X線回析装置(理学電機社製, Rotaflex)を用いてシーラント周囲, シーラント直下裂溝開口部および裂溝側面部エナメル表層部の結晶性変化を検討した. 2. シーラント周囲のエナメル質耐酸性変化の検討 牛歯ブロック(約6mm×6mm)をエポキシ樹脂包埋後, 外周に幅約2mmの溝を作り, その部へ本シーラントを填塞し, 37℃灌流蒸留水中に保存して1日, 1週, 3週間後の耐酸性変化を検討した. 結果 1)結晶性の評価より, a軸方向ではシーラント周囲, 裂溝側面部において結晶性の向上が認められた. c軸方向ではシーラント周囲部で結晶性の向上が認められたが, シーラント直下ではやや低下が認められた. 2)シーラント周囲のエナメル質耐酸性は経日的に向上が認められた.
ISSN:0583-1199