B-3-7 Ehlers-Danlos症候群患児の歯科的所見

Ehlers-Danlos(ED)症候群は, 全身の関節の著明な過動性, 皮膚および血管の脆弱性と皮膚の過伸展性を3主徴とする遺伝性の結合組織代謝異常で, その臨床像と遺伝形式により7型に分類される. 歯科的には, エナメル質減形成, 短根, 歯髄結石, 歯髄狭窄, さらに, エナメル象牙境のスカラップ線状の欠如, 不規則な象牙質形成, 象牙質内への脈管封入, 歯髄の線維変性などの特徴を示すことが報告されている. 今回我々は, 本学小児歯科を受診したED症候群VII型の女児の口腔内診査, および齲蝕のため抜去した上顎乳中切歯の病理組織学的検索を行い, 以下の所見を得た. 1)乳歯に早期萌出の傾...

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Veröffentlicht in:小児歯科学雑誌 1987, Vol.25 (3), p.751-751
Hauptverfasser: 河野仁美, 阿部慶子, 泉谷明, 大嶋隆, 祖父江鎮雄
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:Ehlers-Danlos(ED)症候群は, 全身の関節の著明な過動性, 皮膚および血管の脆弱性と皮膚の過伸展性を3主徴とする遺伝性の結合組織代謝異常で, その臨床像と遺伝形式により7型に分類される. 歯科的には, エナメル質減形成, 短根, 歯髄結石, 歯髄狭窄, さらに, エナメル象牙境のスカラップ線状の欠如, 不規則な象牙質形成, 象牙質内への脈管封入, 歯髄の線維変性などの特徴を示すことが報告されている. 今回我々は, 本学小児歯科を受診したED症候群VII型の女児の口腔内診査, および齲蝕のため抜去した上顎乳中切歯の病理組織学的検索を行い, 以下の所見を得た. 1)乳歯に早期萌出の傾向が認められたが, 永久歯胚の石灰化に基づく歯牙年齢に異常は認められなかった. 2)3歳時の歯列模型より, 乳歯列弓および乳歯の大きさを測定したところ, いずれの測定値も標準値より明らかに小さく, 顎および歯牙の発育不全が認められた. 3)3歳0ヵ月時でのレントゲン診査では, 乳歯の歯髄結石は認められなかった. 4)厚さ50μmの研磨切片より撮影したコンタクトマイクロラジオグラフでは, 周囲にX線透過性の高い領域をもつ涙滴状の不透過像が, 象牙質全体に認められた. 5)脱灰ヘマトキシリンーエオジン染色切片では, 上記涙滴状の不透過像部と一致したエオジン濃染部が認められ, その一部には管腔の封入が観察された. また, このエオジン濃染部周囲の象牙細管は不規則な走行を示した. さらに, 歯髄側には正常な二次象牙質とは異なる板状の石灰化物が存在し, その内部には細胞の封入が認められた. 6)コラーゲンを選択的に赤色に染めるワン・ギーソン染色を施したところ, 患児象牙質の脱灰切片は黄色を呈し, コラーゲンの欠乏が示唆された.
ISSN:0583-1199