14 開窓療法により嚢胞内永久歯を保存し得た濾胞性歯嚢胞の1症例について

濾胞性歯嚢胞は歯胚の発育異常, 一種の奇形とされており, 顎骨に発生する歯原性嚢胞の1つであり, 嚢胞内に埋伏永久歯の歯冠を包含していることが多い. 治療法としては, 摘出術を基本とし, 古くからParschのI法, II法が用いられてきたが, 1936年にRusselは年少者の特に大きな顎嚢胞に対しては, 顎発育の影響, 神経血管束の走行との関連, 外科的侵襲, 顔貌の変形などを可及的に少なくするために開窓療法が極めて有効であることを提唱している. 今回我々は, 年少者の永久歯胚を含んだ比較的大きな顎嚢胞に対して開窓療法を施し, 乳歯を保隙として可及的に残し, 埋伏永久歯をほぼ正常な位置に萌...

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Veröffentlicht in:小児歯科学雑誌 1987, Vol.25 (1), p.252-253
Hauptverfasser: 井上浩一, 角南整司, 風呂川彰, 内海誠司, 寺地睦久, 松村和良
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:濾胞性歯嚢胞は歯胚の発育異常, 一種の奇形とされており, 顎骨に発生する歯原性嚢胞の1つであり, 嚢胞内に埋伏永久歯の歯冠を包含していることが多い. 治療法としては, 摘出術を基本とし, 古くからParschのI法, II法が用いられてきたが, 1936年にRusselは年少者の特に大きな顎嚢胞に対しては, 顎発育の影響, 神経血管束の走行との関連, 外科的侵襲, 顔貌の変形などを可及的に少なくするために開窓療法が極めて有効であることを提唱している. 今回我々は, 年少者の永久歯胚を含んだ比較的大きな顎嚢胞に対して開窓療法を施し, 乳歯を保隙として可及的に残し, 埋伏永久歯をほぼ正常な位置に萌出し得た症例を経験したので, その概要を報告した. 症例 患者:松○浩○, 9歳7ヵ月, 女児 初診:昭和59年9月26日 主訴:└2─E唇側歯肉部有痛性腫脹 既往, 家族歴:特記事項なし 現病歴:約3ヵ月前, └2─E唇側歯肉部に有痛性腫脹を認めるも放置. しかし同症状が増大したため来科. 現症:全身所見として, 体格, 栄養ともに中等度, 顔貌は, やや左右非対称, 左側顎下リンパ節に小指頭大一個を触知, 圧痛を認めた. 口腔内所見として└2─6唇側歯肉部に境界明瞭な有痛性腫脹および同部辺縁歯肉よりの排膿を認めた. 処置および経過 昭和59年9月26日初診, 同日より10月1日, 化学療法, 口腔内洗浄, 10月2日, 開窓療法施行, 10月3日より11月13日, 化学療法, 口腔内洗浄, 12月27日, └DE抜歯, および開窓療法施行, 12月28日より昭和60年1月8日, 化学療法, 口腔内洗浄, 3月26日└C抜歯, 3月27日より4月3日, 化学療法, 口腔内洗浄, 術後2年予後良好.
ISSN:0583-1199