9 上下顎乳臼歯の咬合面溝における形態学的研究 第2報 上下顎第1乳臼歯

乳臼歯咬合面における溝の状態を検討することは, 齲触予防処置, 歯冠修復の上で重要と思われる. そこで上下顎第1乳臼歯におけるエナメル質厚径, 溝の深さ, 展界角について, 若干の知見を得たので報告した. 資料: 咬耗が比較的軽度で, 咬合面型が代表的な上顎3M型, 下顎Y5型の抜去歯, 各13歯, 合計26歯を用いた. 方法: 資料を写真撮影後, 脱水し, リゴラック包埋した. 各歯を近遠心断, 頬舌断の2方向より切断し, 厚さ70~100μmの連続的未脱灰研磨標本を作製した. 各標本を約50倍に拡大し, 写真撮影を行った. トレース後, Fejerskov等の計測基準に準じ, 0.2mmの...

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Veröffentlicht in:小児歯科学雑誌 1987, Vol.25 (1), p.234-234
Hauptverfasser: 大石紀子, 後藤邦之, 都筑勝美, 甕佐里子, 黒須一夫
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:乳臼歯咬合面における溝の状態を検討することは, 齲触予防処置, 歯冠修復の上で重要と思われる. そこで上下顎第1乳臼歯におけるエナメル質厚径, 溝の深さ, 展界角について, 若干の知見を得たので報告した. 資料: 咬耗が比較的軽度で, 咬合面型が代表的な上顎3M型, 下顎Y5型の抜去歯, 各13歯, 合計26歯を用いた. 方法: 資料を写真撮影後, 脱水し, リゴラック包埋した. 各歯を近遠心断, 頬舌断の2方向より切断し, 厚さ70~100μmの連続的未脱灰研磨標本を作製した. 各標本を約50倍に拡大し, 写真撮影を行った. トレース後, Fejerskov等の計測基準に準じ, 0.2mmの円を用いて咬合面窩溝底部のエナメル質厚径, 窩溝部の深さ, 展界角について計測した. 計測部位は, 上顎では近心頬側溝, 遠心頬側溝, 遠心舌側溝, 近遠心溝, 下顎では近心頬側溝, 遠心頬側溝, 頬側溝, 近心舌側溝, 遠心舌側溝, 近遠心溝とした. 結果: 1.上顎第1乳臼歯 1)エナメル質厚径は, 約404~648μで, 遠心舌側溝が厚く近遠心溝が薄い傾向であった. 2)窩溝部の深さは約13~76μで, 近心頬側溝が深く, 近遠心溝が浅い傾向であった. 3)窩溝部の展界角は約91~116°で, 近遠心溝が鈍角で近心頬側溝が鋭角の傾向であった. 4)各項目間の相関関係は, 展界角と深さの間で有意な負の相関を認めた. 2.下顎第1乳臼歯 1)エナメル質厚径は約407~751μで, 頬側溝が厚く, 近心舌側溝が薄い傾向であった. 2)窩溝部の深さは約6~43μで, 遠心舌側溝が深く, 近心頬側溝が浅い傾向であった. 3)窩溝部の展界角は101~125°で, 近心頬側溝が鈍角で遠心舌側溝が鋭角の傾向であった. 4)各項目間の相関関係は, 上顎と同様に展界角と深さの間で有意な負の相関を認めた.
ISSN:0583-1199