B-1-23 歯胚の発育に対するヨードホルムの作用について
ヨードホルム系根管充填剤を乳歯にほどこした場合, 乳歯根の吸収に伴って残留したヨードホルムが後続永久歯の歯胚の発育に影響することが考えられる. 本研究は, この点を考慮し, ハムスター臼歯歯胚を用い, 器官培養を行い, 歯胚の発育に及ぼすヨードホルムの影響について検索したものである. まず生後2日目のシリアン・ハムスター下顎第2臼歯歯胚を摘出し, Trowell型チャンバー内でGrid法を用いて器官培養を行った. 24時間後にヨードホルム(1.0, 3.3, 6.6, 10.0ppm)を含む培養液に交換し, さらに48時間培養を続けた. 観察方法としては, 歯胚を10%中性ホルマリン固定後,...
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Veröffentlicht in: | 小児歯科学雑誌 1986, Vol.24 (3), p.560-560 |
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1. Verfasser: | |
Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | ヨードホルム系根管充填剤を乳歯にほどこした場合, 乳歯根の吸収に伴って残留したヨードホルムが後続永久歯の歯胚の発育に影響することが考えられる. 本研究は, この点を考慮し, ハムスター臼歯歯胚を用い, 器官培養を行い, 歯胚の発育に及ぼすヨードホルムの影響について検索したものである. まず生後2日目のシリアン・ハムスター下顎第2臼歯歯胚を摘出し, Trowell型チャンバー内でGrid法を用いて器官培養を行った. 24時間後にヨードホルム(1.0, 3.3, 6.6, 10.0ppm)を含む培養液に交換し, さらに48時間培養を続けた. 観察方法としては, 歯胚を10%中性ホルマリン固定後, 通法にしたがいパラフィン包埋後, 6μm薄切々片標本を作製し, H-E染色を行ない歯胚の細胞障害について検索した. 結果として, ヨードホルム1.0ppmを作用させたものは対照とあまり差がなく, 歯胚の最外層には外エナメル上皮細胞がやや疎に存在し, その内側のエナメル髄は縮少し, 卵円形ないし星状の細胞が見られた. エナメル上皮細胞は咬頭頂付近で高円柱状を呈し, 象牙芽細胞も円柱状の形態を維持しており, 歯乳頭は核濃縮を呈する部分が観察された. 又, 3.3ppm群ではエナメル髄は細胞の存在しない空域が著明であり, 内エナメル上皮細胞は排列が疎となり, 象牙芽細胞も排列がみだれ, 歯乳頭の各所で核濃縮が観察された. 6.6ppmでは外エナメル上皮, エナメル髄は密集し, 核濃縮が多数の細胞において観察され, 内エナメル上皮, 象牙芽細胞は識別困難となっていた. さらに10.0ppmでは形態的乱れがさらに著しくなり各細胞の識別も不可能となった. 以上のことからヨードホルムは1.0ppmでは障害を与えなかったが, 3.3ppm以上の濃度に於いては歯胚の発育を阻害し10.0ppmでは著明な影響を及ぼすことがわかった. |
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ISSN: | 0583-1199 |