B-1-21 清涼飲料水, 果汁等による乳歯歯牙溶解に関する研究

近時乳幼児齲蝕は減少傾向にあると云われているが, 当地域の3歳児検診の結果をみると, 全歯牙に及ぶ, 広汎性のものが今だ少くはない. その原因がおやつの摂取方法によって, 齲蝕の発現傾向がみられた. 古くからジュース, 乳酸飲料水による歯牙の溶解がとり上げられているが, 今回の調査で生ジュース, 清涼飲料水等の多量摂取が齲蝕の発現頻度を高めている現象をみた. 乳歯をジュース, 清涼飲料水, 乳酸菌飲料水に浸漬すると, 歯牙の表面より溶解が始まり, 重量も少くなってくる. これら飲料水の種類によっても多様な形を示す. 当地の3歳児検診で, 齲蝕の発現頻度に, ジュース, 清涼飲料水等の多量摂取が関与しているのは明らかである. 尚, 男女100名の幼児を対照に, おやつの種類と齲蝕との関係を調査したが, 果汁等による前歯部及び臼歯部に亘って, 広汎性の齲蝕を見るものが多数の幼児にみられた. 特に前歯部齲蝕と臼歯部齲蝕に分けて, 齲蝕の発生頻度をみると, 前歯部齲蝕の発現をみるものは乳酸飲料水, 果汁を常用しているものに多くみられた. 固型のチョコレートを好む幼児には, 臼歯部齲蝕が多くみられる傾向をみた. そこでこれらのおやつの量を減らすか, 全く摂取をとりやめさせたところ. 齲蝕の進行が停止した. 近来, 巷間には菓子類が繁乱し, これが幼児の発育にも関係するが, 齲蝕の発生が直接にみられる現象からして, 口腔衛生の指導を積極的に行う必要がある. 今回の調査で特に, 離乳食時に生果汁を毎日投与例に広汎に齲蝕がみられたが, 摂食指導に齲蝕の問題を考える必要がある.