上顎犬歯欠如および第2乳臼歯埋伏の1例

「要旨」:著者らは, ΓE萌出遅延を主訴として来院した6歳0ヵ月女児に対しX線診査を行った結果, ΓEは歯冠, 歯根ともにほぼ完成された状態で顎骨内に埋伏しているのを認めた. また, ΓE歯根分岐部下に後継永久歯胚は存在せず, ΓE遠心部とΓ6近心根の間にやや矮小化傾向のある永久歯胚がみられ, さらに3⊥3歯胚の先天的欠如も認めた. 患児の既往歴, 家族歴に特記すべき事項はなく, 初診時の全身状態, 口腔内所見においてもΓE未萌出以外, 特に異常はみられなかった. 本症例の原因としては, 異常位置に発生したΓE歯胚が萌出力を伴わず歯根形成を完了したまま顎骨内に停留したため, その後継永久歯胚は...

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Veröffentlicht in:小児歯科学雑誌 1986, Vol.24 (3), p.495-507
Hauptverfasser: 栢原千鶴, 木村光孝, 加藤信彦, 粟生悟, 井手口盡, 鰺坂一郎
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:「要旨」:著者らは, ΓE萌出遅延を主訴として来院した6歳0ヵ月女児に対しX線診査を行った結果, ΓEは歯冠, 歯根ともにほぼ完成された状態で顎骨内に埋伏しているのを認めた. また, ΓE歯根分岐部下に後継永久歯胚は存在せず, ΓE遠心部とΓ6近心根の間にやや矮小化傾向のある永久歯胚がみられ, さらに3⊥3歯胚の先天的欠如も認めた. 患児の既往歴, 家族歴に特記すべき事項はなく, 初診時の全身状態, 口腔内所見においてもΓE未萌出以外, 特に異常はみられなかった. 本症例の原因としては, 異常位置に発生したΓE歯胚が萌出力を伴わず歯根形成を完了したまま顎骨内に停留したため, その後継永久歯胚は正常な移動を行えず遠心寄りに位置するようになったと考えられる. しかし一方, 抜去したΓEの病理組織学的検索によりΓEにはAnkylosisが認められることから, ΓEはかつて萌出しており, 何らかの機転で低位を占めるに至り周囲組織に囲まれるようになった低位乳歯の可能性も否定できない. また, 歯髄組織は硝子変性, 石灰変性に陥っていることが確認され, Ankylosisとこれらの退行性変化の興味ある関連性もうかがえた.
ISSN:0583-1199