上顎左右第一乳臼歯の低位乳歯の一症例
かつて咬合機能を営んでいたが,なんらかの原因で低位となるようになった乳歯を低位乳歯と呼んでいる。著者らは,本学小児歯科を受診した11歳9ヵ月の女児に上顎左右第一乳臼歯の低位乳歯を認めた。 頬側面観では左右側ともに患歯の頬側咬頭頂が,両隣在歯の臨床的歯頸部の高さでわずかに歯肉縁上に認められるのみである。咬合面にはアマルガム充填がなされているが,その大部分は歯肉に被われ,アマルガムの辺縁には二次齲蝕がみられる。また触診によりわずかに動揺が認められた。 X線診査の結果,左右側とも後継永久歯は欠如しており,患歯の歯根には著しい歯根吸収がみられ,口蓋根の一部を残すのみとなっている。歯根膜腔,歯槽硬線とも...
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Veröffentlicht in: | 小児歯科学雑誌 1985/06/25, Vol.23(2), pp.519-527 |
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Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Schlagworte: | |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | かつて咬合機能を営んでいたが,なんらかの原因で低位となるようになった乳歯を低位乳歯と呼んでいる。著者らは,本学小児歯科を受診した11歳9ヵ月の女児に上顎左右第一乳臼歯の低位乳歯を認めた。 頬側面観では左右側ともに患歯の頬側咬頭頂が,両隣在歯の臨床的歯頸部の高さでわずかに歯肉縁上に認められるのみである。咬合面にはアマルガム充填がなされているが,その大部分は歯肉に被われ,アマルガムの辺縁には二次齲蝕がみられる。また触診によりわずかに動揺が認められた。 X線診査の結果,左右側とも後継永久歯は欠如しており,患歯の歯根には著しい歯根吸収がみられ,口蓋根の一部を残すのみとなっている。歯根膜腔,歯槽硬線ともに口蓋根の近心側で一部分明瞭に認められるのみであった。 低位歯の原因は明らかでないが,発生機序として外力による直接的陥没と,萌出力の減少,消失により隣在歯の萌出,顎の垂直的発育に取り残される間接的陥没が考えられている。本症例についてもその原因は明らかでない。患歯は咬合機能をまったく営んでおらず,清掃困難による齲蝕および歯周疾患の罹患,また両隣在歯の傾斜による咬合の不正などを考慮し抜歯処置の適応と診断した。 |
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ISSN: | 0583-1199 2186-5078 |
DOI: | 10.11411/jspd1963.23.2_519 |