22 上顎単一乳中切歯と後継上顎単一永久中切歯を有する1症例について

今回我々は, 在胎月数10ヵ月, 生下時体重3100gで, IQ70と精神遅滞を示していたが, その他全身状態に異常はみられなかった5歳2ヵ月の男児に認められた上顎正中部における単一乳中切歯,及び後継永久歯に生じた単一永久中切歯について報告した. 本症例は上唇小帯の消失, 口蓋及び鼻の異常を伴っていた. 単一乳中切歯及び単一永久中切歯ともに, 形態的に左右対称で, 隅角徴や彎曲徴がみられず, 近遠心の判別はつかなかった. 歯冠幅径は平均より大きいことから, 癒合の可能性を疑わせるが, 肉眼的, 組織学的に癒合部を思われる所見は認められなかった. 本症例の発現原因は判然としないが, 前頭突起,...

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Veröffentlicht in:小児歯科学雑誌 1985, Vol.23 (1), p.273-273
Hauptverfasser: 中原世津子, 小笠原靖, 久芳陽一, 吉田穣
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:今回我々は, 在胎月数10ヵ月, 生下時体重3100gで, IQ70と精神遅滞を示していたが, その他全身状態に異常はみられなかった5歳2ヵ月の男児に認められた上顎正中部における単一乳中切歯,及び後継永久歯に生じた単一永久中切歯について報告した. 本症例は上唇小帯の消失, 口蓋及び鼻の異常を伴っていた. 単一乳中切歯及び単一永久中切歯ともに, 形態的に左右対称で, 隅角徴や彎曲徴がみられず, 近遠心の判別はつかなかった. 歯冠幅径は平均より大きいことから, 癒合の可能性を疑わせるが, 肉眼的, 組織学的に癒合部を思われる所見は認められなかった. 本症例の発現原因は判然としないが, 前頭突起, 特に内側鼻突起内に何らかの障害が加わった為ではないかと考えられる. さらに, 文献的に, 成長ホルモンと低身長との関連を示唆するもの, 小頭症, 甲状腺機能減退症, Holoplosencephaly等の全身疾患との関係を報告しているものがあることから, 今後とも慎重に検討する予定である.
ISSN:0583-1199