14 幼児期に発現したMucoceleの1例

粘液嚢胞・Mucoceleは, 唾液の流出障害によって生ずる嚢胞であり, Mucous cystとも呼ばれ, 小児歯科領域でもしばしぼ経験する疾患である. 今回我々は, 1歳6ヵ月児の右側下口唇部に発現したMucoceleに遭遇し, 全麻下で摘出した後に経過観察を行っている. また, 摘出物については神経組織学的検索を行い, 以下の結果を得た. 1)嚢胞形成壁は, duct raptureにより境界不明瞭で, 線維性結合組織の軽度の増殖を伴う肉芽組織より成っていた. 2)嚢胞内部は, 粘液性物質, 多数の形質細胞, マクロファージを貯溜していた. 3)原因唾液腺の導管に, 一部小嚢胞化を示す所...

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Veröffentlicht in:小児歯科学雑誌 1985, Vol.23 (1), p.270-270
Hauptverfasser: 鬼塚一徳, 木村光孝, 井上秀人, 内野公一, 杉山和夫, 原田和己
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:粘液嚢胞・Mucoceleは, 唾液の流出障害によって生ずる嚢胞であり, Mucous cystとも呼ばれ, 小児歯科領域でもしばしぼ経験する疾患である. 今回我々は, 1歳6ヵ月児の右側下口唇部に発現したMucoceleに遭遇し, 全麻下で摘出した後に経過観察を行っている. また, 摘出物については神経組織学的検索を行い, 以下の結果を得た. 1)嚢胞形成壁は, duct raptureにより境界不明瞭で, 線維性結合組織の軽度の増殖を伴う肉芽組織より成っていた. 2)嚢胞内部は, 粘液性物質, 多数の形質細胞, マクロファージを貯溜していた. 3)原因唾液腺の導管に, 一部小嚢胞化を示す所見も認められた. 4)神経線維は, 原因唾液腺周囲にはほとんど認められず, それから離れた部位にいわゆる知覚神経束が蛇行, 膨化, 断裂し, ほとんどの神経線維は消失しているが, その中にはいまだにわずかに好銀性を保っている神経線維も散見された. 以上の結果および文献的考察により, 本症例の原因として, 乳前歯の萌出に伴う慢性刺激が推察された.
ISSN:0583-1199