26 エナメル質の石灰化に影響を及ぼす微量元素に関する研究
すでに演者らは, 幼若エナメル質の口腔内における自然な状態での成熟過程を報告しており, このような自然におこるPost-eruptive maturationを, F, Sr等の各イオンにより萌出後可及的はやい時期に促進させる方法を検索している. 今回はSrF2の効果について, 前回行った偏光顕微鏡, 顕微X線法に加え, X線マイクロアナライザーを用いて検討した. 材料としてヒト抜去上顎第一大臼歯20歯を用い, 歯表面をワックスでコーティングして頬側あるいは舌側の歯冠中央部の健全エナメル質表面に直径3mmのウィンドウを作った. 歯をSperber-Buonocoreの脱灰溶液に13時間浸漬し,...
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Veröffentlicht in: | 小児歯科学雑誌 1982, Vol.20 (1), p.206-207 |
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Hauptverfasser: | , , , , |
Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | すでに演者らは, 幼若エナメル質の口腔内における自然な状態での成熟過程を報告しており, このような自然におこるPost-eruptive maturationを, F, Sr等の各イオンにより萌出後可及的はやい時期に促進させる方法を検索している. 今回はSrF2の効果について, 前回行った偏光顕微鏡, 顕微X線法に加え, X線マイクロアナライザーを用いて検討した. 材料としてヒト抜去上顎第一大臼歯20歯を用い, 歯表面をワックスでコーティングして頬側あるいは舌側の歯冠中央部の健全エナメル質表面に直径3mmのウィンドウを作った. 歯をSperber-Buonocoreの脱灰溶液に13時間浸漬し, 人工的白斑を形成後, ウィンドウの半分をワックスでコーティングし, 10歯にはKoulouridesの石灰化溶液を作用させ, 他の10歯にはSrF2溶液と石灰化溶液を作用させ, 偏光顕微鏡, 顕微X線法ならびにX線マイクロアナライザーを用いて検討した. なお, これらの方法の中で前回と異なる点は, 歯を脱灰する際行っていた振盪を, 今回は行わなかったことである. 以上の結果, 次のことが明らかとなった. すなわち, 今回の実験条件では, 偏光顕微鏡像において, 石灰化溶液のみの試料もSrF2溶液と石灰化溶液を作用させた試料も人工的白斑部に比較して脱灰層の幅が減少し, X線マイクロアナライザーでは, 人工的白斑部で表層下脱灰の像に一致するCa, Pの強度の変化が認められるものもあったが, 石灰化溶液のみ, あるいはSrF2溶液と石灰化溶液を作用させた部分では, 全て健全エナメル質と同じ像を示したことから, 明らかに無機質の添加が生じたことが示唆された. しかしながら今回の実験条件では顕微X線法で変化が認められず, 萌出間もない幼若永久歯に比較して, 実験開始時の人工的白斑部の無機質量が多く, 今後この点について考慮していきたい. |
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ISSN: | 0583-1199 |