59 乳歯根管治療の臨床成績(I)

乳歯の感染根治療は, 日常小児歯科臨床において, かなりの頻度で行なわれているが生理的歯根吸収, 根管形態, 根分岐部感染などの特異性の為, 永久歯のそれに比べ, 予後を必ずしも期待し得ない場合が多い. そこで, 今回は, 日常臨床で通例行なわれている乳歯感染根管治療のうち, 特に乳臼歯をとりあげ, その臨床成績を歯種別な見地から検討を加え, また永久歯においては適応外とされる根分岐部感染歯に対しても掻爬を併用し, その臨床成績も検討することができたので合わせて報告する. 対象歯は, 本学小児歯科臨床において, 昭和48年度から昭和55年度の間, 訪ずれた外来患者のうち, 化膿性根端性歯周組織...

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Veröffentlicht in:小児歯科学雑誌 1981, Vol.19 (1), p.231-231
Hauptverfasser: 近藤光昭, 下島丈典, 中野潤三郎, 遠藤玲子, 笠原浩, 今西孝博
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:乳歯の感染根治療は, 日常小児歯科臨床において, かなりの頻度で行なわれているが生理的歯根吸収, 根管形態, 根分岐部感染などの特異性の為, 永久歯のそれに比べ, 予後を必ずしも期待し得ない場合が多い. そこで, 今回は, 日常臨床で通例行なわれている乳歯感染根管治療のうち, 特に乳臼歯をとりあげ, その臨床成績を歯種別な見地から検討を加え, また永久歯においては適応外とされる根分岐部感染歯に対しても掻爬を併用し, その臨床成績も検討することができたので合わせて報告する. 対象歯は, 本学小児歯科臨床において, 昭和48年度から昭和55年度の間, 訪ずれた外来患者のうち, 化膿性根端性歯周組織炎と診断された乳歯431例であり, それらを検討した結果, 次のことが明らかになった. 感染根管治療後, その良好不良例の割合を観察期間別に検討したところ, 根管充填後, 3カ月目においては不良例発現の割合は, 10.3%と良好な成績を示し, 以後それぞれの観察時期についても, 16%前後の不良発現が同程度認められた. 部位別による臨床成績は, 上顎第1乳臼歯では良好例は95例中81例で85.3%, 上顎第2乳臼歯では64例中60例で93.8%, 下顎第1乳臼歯では132例中106例で80.3%, 下顎第2乳臼歯では140例中116例で82.9%であった. さらに永久歯においては, 抜歯の適応とされている分岐部に病巣を有する感染根管乳臼歯においても, 掻爬を併用することにより通常の根管治療のみの臨床成績87.1%に比べ, 総数67例中, 良好例57例で85.1%とわずかながら不良ではあるが, かなりの高成績がえられた.
ISSN:0583-1199