39 新しく開発されたジェットブラシ（仮称）の歯垢清掃効果について

小児の歯垢清掃具について研究を続けてみると, 性別や年齢別だけでなく, 齲蝕や齲蝕の処置状態あるいは各種の装置装着状態などの口腔環境や家庭環境によっても, それぞれに適した歯垢清掃具が必要であることがわかる. 今回, 歯垢清掃の最も大切な時期でもあり, また最も困難な時期でもあると考えられる混合歯列期の学童を対象に, 九州松下電器株式会社と協同で開発したジェットブラシの歯垢清掃効果を報告する. 従来から, ジェットウォーターや電動ブラシについては様々の論評があるが, 小児に対しての報告は少ない. そこで小児に対する歯垢清掃効果や使用の可否など, 疑問を解明すべく実験を行った結果, 興味ある機種, すなわちジェットウォーターと電動ブラシを組み合わせたジェットブラシ（仮称）を生み出した. 本実験では, 九州松下電気が既に発売しているジェットウォーターのパナジェットと, ジェットブラシ試作機IIおよび試作機IIIの3機種について, 水量300cc一定で, 歯垢清掃効果の良否のテストを行った. その結果, パナジェットは食物残渣は除去されるが, 歯垢清掃効果は10％に満たない低い値を示した. 歯ブラシの回転角度と振動の大きい試作機IIは, 歯垢清掃効果こそ最も高い値を示したが, 歯肉出血や粘膜剥離を生じやすく, 小児が扱いにくい. 歯ブラシの回転角度や振動および水圧などが調整された試作機IIIは水量300ccではやや疑問があるが, 歯垢清掃効果は高く, 非常に扱いやすいことがわかった. 以上の結果から, 歯面からフリーであるピックのみより, 歯面にタッチさせることのできるジェットブラシは, ジェットウォーターの効果と電動ブラシの効果が相乗された高い歯垢清掃効果が得られるという結論を得た.