53 多変量解析法による繊維とう蝕の関係
目的:すでに, 著者らは疫学調査で, 野菜類がう蝕阻止作用を有することを示唆した. 最近, 繊維は血漿コレステロール値の低下作用や糖尿病の予防効果などが報告されており, 栄養学上重要視されつつある. そこで, 今回は野菜類の主要な成分である繊維とう蝕の関係について総合的な考察を加えるため, 多変量解析法を用いて検討を加えた. 方法:18~19歳の女子108名を対象に, 週日の連続3日間の食物摂取調査を行ない, 総繊維摂取量および各食品群別繊維摂取量を算出した. 今回, 評定した繊維は主としてセルロースのほか, ヘミセルロース, ガム質の一部を含む粗繊維である. う蝕のり患状態はDMF歯率によっ...
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Veröffentlicht in: | 小児歯科学雑誌 1980, Vol.18 (2), p.440-440 |
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Hauptverfasser: | , , |
Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 目的:すでに, 著者らは疫学調査で, 野菜類がう蝕阻止作用を有することを示唆した. 最近, 繊維は血漿コレステロール値の低下作用や糖尿病の予防効果などが報告されており, 栄養学上重要視されつつある. そこで, 今回は野菜類の主要な成分である繊維とう蝕の関係について総合的な考察を加えるため, 多変量解析法を用いて検討を加えた. 方法:18~19歳の女子108名を対象に, 週日の連続3日間の食物摂取調査を行ない, 総繊維摂取量および各食品群別繊維摂取量を算出した. 今回, 評定した繊維は主としてセルロースのほか, ヘミセルロース, ガム質の一部を含む粗繊維である. う蝕のり患状態はDMF歯率によった. 全ての統計処理はCDC 6600およびCYBER 74によった. 結果:繊維の総摂取量および野菜類, 穀類, 果実類, 豆類, いも類, きのこ類, 海草類, 種実類の各食品群別の繊維の摂取量を求め, 野菜類から種実類までの繊維摂取量は全体の95.7%に達した. つぎに, 各項探間の相関係数を求めた. DMF歯率は総繊維, 野菜類繊維と危険率1%水準で逆相関を示すことを有意と認めた. この相関行列に主成分析を行ない, 固有値1以上のものをひろうと, 第1(Z1)~第4主成分(Z4)までとなり, その時の累積寄与率は66.4%となった. しかし, 因子負荷量から各主成分の特徴をのべることは若干困難がともなうので, 規準バリマックス法による因子軸の直交回転を行ない, 第1(F1)~第4因子(F4)をえた. F1はう蝕と繊維に関する因子で, う蝕の度合は総繊維, 野菜類, きのこ類の各繊維の摂取量と逆関係にあり, その寄与率は27.3%であった. このように, 総繊維と野菜類繊維の摂取量とDMF歯率が逆関係を示すことにより, 野菜類がう蝕阻止作用を有する要素のひとつとして繊維が考えられる. なお, 第2因子は豆類と海草類の繊維に関する因子, 第3因子は, 総繊維, 穀類と果実類の繊維に関する因子, 第4因子はいも類と種実類の繊維に関する因子であった. |
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ISSN: | 0583-1199 |