47 エナメル質の再石灰化に関する研究 第1報 再石灰化液のpHおよびフッ素濃度の影響について

近年, 私たちは日常の臨床において酸エッチング法を広く応用するようになった. このために口腔内における酸脱灰を受けたエナメル質表面の態度について知ることは重要と考えられる. 従来, 酸によって脱灰軟化されたエナメル質を唾液に浸漬すると硬度が回復するといわれ, また, 形態的にも処理前の状態に復元すると報告されている. しかし, この方面の研究は比較的少なく, 十分な知見が得られているとはいえない. そこで, 私たちは再石灰化の基本的性格を知る目的で本研究に着手した. 今回はその第1報として石灰化液のpHならびに添加されたフッ素量と再石灰化像との関連性を走査型電子顕微鏡によって検討した. 材料と...

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Veröffentlicht in:小児歯科学雑誌 1980, Vol.18 (2), p.437-437
Hauptverfasser: 小出武, 池尾元三朗, 黄純徳, 金森市造, 稗田豊治
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:近年, 私たちは日常の臨床において酸エッチング法を広く応用するようになった. このために口腔内における酸脱灰を受けたエナメル質表面の態度について知ることは重要と考えられる. 従来, 酸によって脱灰軟化されたエナメル質を唾液に浸漬すると硬度が回復するといわれ, また, 形態的にも処理前の状態に復元すると報告されている. しかし, この方面の研究は比較的少なく, 十分な知見が得られているとはいえない. そこで, 私たちは再石灰化の基本的性格を知る目的で本研究に着手した. 今回はその第1報として石灰化液のpHならびに添加されたフッ素量と再石灰化像との関連性を走査型電子顕微鏡によって検討した. 材料と方法:矯正治療の目的で抜去した小臼歯の唇面エナメルの中央部に3mm×3mmのwindowを作製し, 西部を4分割した. 酸処理は38%の正リン酸を使用し, 37℃で2分間脱灰した. 石灰化液はPigman, et al.の処方を基本に, Ca 1.5mM, P 0.9mM, F 0.05mMを含み, pHは7.4に調整した. さらに, pHの影響を検討するために上記の石灰化液のpHのみを変化させ, 一方, フッ素の影響を検討するために各種濃度のフッ素を含む石灰化液を作製した. 浸漬時間は1, 3, 6, 12, 24および48時間とし, 酸処理直後および最初の6時間までを同一の歯牙より得た試料を使用し, 48時間までも同様に同一の歯牙より得た試料を用いた. エナメル質表面の観察には走査型電子顕微鏡(日本電子製JSM-T200)を使用した. 結果:1)pHが増加するにつれ, 石灰化の速度は速くなる. 結晶の形状はpHのみの変化ではほとんど差が認められず, いずれも針状構造を呈していた. 2)フッ素量の増加に伴い, 石灰化の速度は速くなる. また, 添加したフッ素量により形成される結晶の形状に差が認められ, フッ素の添加量を増せば針状結晶は太くなり, フッ素を添加しない場合には平板状の構造を呈した.
ISSN:0583-1199