41 全身麻酔下集中治療の臨床統計的観察

松本歯科大学病院小児歯科において1976年2月より1979年3月までの約3年間に経験した全身麻酔下集中治療319例の臨床統計的観察の結果を報告した. 入院は2泊3日を原則とし, 小児歯科のコンパクトルームを使用した. 対象患者の年齢は最低1歳8ヵ月から最高33歳までにわたり平均6.4歳で, 過半数はいわゆる障害児(者)であった. 処置歯総数は4,953歯(1例当り平均15.9歯)で, そのうち抜歯は1,121歯(1例あたり平均3.9歯)にすぎず, 全体の22.6%に当る3,832歯(1例当り平均12.0歯)に保存修復, しかもそのうち791歯(1例当り平均2.6歯)には歯内療法が行われた. 一...

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Veröffentlicht in:小児歯科学雑誌 1979, Vol.17 (2), p.268-268
Hauptverfasser: 下島丈典, 大村泰一, 中野潤三郎, 小口久雄, 斎藤晶夫, 笠原浩, 今西孝博
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:松本歯科大学病院小児歯科において1976年2月より1979年3月までの約3年間に経験した全身麻酔下集中治療319例の臨床統計的観察の結果を報告した. 入院は2泊3日を原則とし, 小児歯科のコンパクトルームを使用した. 対象患者の年齢は最低1歳8ヵ月から最高33歳までにわたり平均6.4歳で, 過半数はいわゆる障害児(者)であった. 処置歯総数は4,953歯(1例当り平均15.9歯)で, そのうち抜歯は1,121歯(1例あたり平均3.9歯)にすぎず, 全体の22.6%に当る3,832歯(1例当り平均12.0歯)に保存修復, しかもそのうち791歯(1例当り平均2.6歯)には歯内療法が行われた. 一見保存不可能と思われるような感染根管であっても最大限保存に努め機能の回復を計かることは, 可撤式義歯の使用が困難な障害者にあっては特に配慮されなければならないことである. 全身麻酔下集中治療法の最大の利点は, 複雑で長時間を要す治療を行えることであって, あえて極言すれば, 抜歯のような治療に全身麻酔を応用する必要は必ずしもないと考えられた. 手術時間は平均97.9分麻酔時間は平均128.8分であった. このような長時間の手術であっても適切な全身管理により術中, 術後の合併症としては少数例に分泌過多, 術後嘔吐, 発熱など一過性のものがみられたのみで特に問題となるような重篤なものはみられず, 全例において予定の処置が円滑に完了できた. 「虫歯の洪水」とまでいわれるわが国の現状において全身麻酔下集中治療はいわゆる心身障害者あるいはききわけのない低年齢児などに対しての包括的な歯科治療の不可欠な一環として位置づけられねばならないものであり, 歯科病院あるいは, しかるべき専門病院における hospital dentistryの展開が, 公的な立場からも積極的にすすめられなければならないと考えられた.
ISSN:0583-1199