36 乳歯の萌出を妨げていたと思われる集合性歯牙腫の一例

歯牙腫は歯の硬組織である象牙質, エナメル質およびセメント質の増殖からなる歯原性腫瘍のひとつである. 今回, 私達は上顎右側乳犬歯の萌出障害をひきおこした歯牙腫に遭遇し, 歯牙腫の摘出と同時に埋伏乳犬歯を抜去し, その後永久犬歯を正常な位置に誘導しつつある症例を経験したので報告した. [症例]:8歳7ヵ月の女子 [主訴]:上顎右側乳犬歯の萌出遅延 [家族歴および既往歴]:特記事項なし [現病歴]:上記主訴のため, 当科を受診. X線診査の結果, 3」相当部歯槽骨に数個の境界明瞭な歯牙様石灰化物が認められた. [現症]:発育および栄養状態良好で全身的にも顔貌にも特に異常を認めない. [口腔内所見...

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Veröffentlicht in:小児歯科学雑誌 1979, Vol.17 (2), p.266-266
Hauptverfasser: 有田信一, 伊東隆三, 松本光生, 岡喜七郎, 北村勝也
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:歯牙腫は歯の硬組織である象牙質, エナメル質およびセメント質の増殖からなる歯原性腫瘍のひとつである. 今回, 私達は上顎右側乳犬歯の萌出障害をひきおこした歯牙腫に遭遇し, 歯牙腫の摘出と同時に埋伏乳犬歯を抜去し, その後永久犬歯を正常な位置に誘導しつつある症例を経験したので報告した. [症例]:8歳7ヵ月の女子 [主訴]:上顎右側乳犬歯の萌出遅延 [家族歴および既往歴]:特記事項なし [現病歴]:上記主訴のため, 当科を受診. X線診査の結果, 3」相当部歯槽骨に数個の境界明瞭な歯牙様石灰化物が認められた. [現症]:発育および栄養状態良好で全身的にも顔貌にも特に異常を認めない. [口腔内所見]:歯牙年齢はIIIAであり, 永久歯は 621/621|126/126 がすでに萌出しているにもかかわらず C」は萌出していない. C」の唇側歯肉部から歯肉頬移行部にかけて小指頭大の膨隆が認められる. 粘膜の色は正常で, 周囲との境界は明瞭. 硬度は骨様硬であり, 波動は触れない. [X線診査]:C」の埋伏が認められ, C」の上方部かつ D」の近心側の歯槽骨内に数個の境界明瞭な不透過像が認められる. 頭部X線規格写真による分析においては Skeletal patternには特に異常なく, Denture patternにおいては U1 to FH Planeが(+) 1.5S.D. と上顎前歯の唇側傾斜を示している. [臨床診断]:乳歯歯胚由来の集合性歯牙腫と思われる. [摘出物]:薄い被膜に包まれた小歯牙様の大小不同の石灰化物7個よりなる集合物であった. [病理組織学的所見]:歯牙様硬組織は象牙質様組織を主体とし, エナメル質様組織, セメント質様組織, 歯髄組織がみられ, ほぼ歯牙様の形態をなしており, 象牙細管が明瞭である.
ISSN:0583-1199