C-9 学童の食品嗜好調査報告 第一報

学童のう蝕罹患率は最早や100%に近く, 摂糖制限や, 刷掃指導のみでの予防対策の域を脱し, 明らかに食生活の改善に大きく方向変換を強いられている時と思われる. そこで学童期の食品嗜好はどう偏っているかについて, 700名の学童を対照に250種の食品を示し, 意欲尺度を5段階に分けて解答させた. これは栄養学会で用いるEact scaleと相関した. 今回その結果を第一報として報告する. 肉類のグループでは主として, ひき肉のような軟かいものが好まれ, 反面, 硬い肉は嫌われ, 更にレバー, マトン, 鯨など臭いのあるものが嗜好度が低かった. 野菜類は殆んどの子どもに嫌われているが, その中で...

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Veröffentlicht in:小児歯科学雑誌 1978, Vol.16 (3), p.625-626
Hauptverfasser: 河野友美, 岡崎卓司, 辰吉子
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:学童のう蝕罹患率は最早や100%に近く, 摂糖制限や, 刷掃指導のみでの予防対策の域を脱し, 明らかに食生活の改善に大きく方向変換を強いられている時と思われる. そこで学童期の食品嗜好はどう偏っているかについて, 700名の学童を対照に250種の食品を示し, 意欲尺度を5段階に分けて解答させた. これは栄養学会で用いるEact scaleと相関した. 今回その結果を第一報として報告する. 肉類のグループでは主として, ひき肉のような軟かいものが好まれ, 反面, 硬い肉は嫌われ, 更にレバー, マトン, 鯨など臭いのあるものが嗜好度が低かった. 野菜類は殆んどの子どもに嫌われているが, その中で比較的に好かれているのがホーレン草, レタスなどで, 繊維の硬い野菜はあまり好まれていない傾向がはっきりしている. この際野菜についての場合は単に好き嫌いの問いのみで, 量については調査困難なため, 単なる好きだとの解答のみで左右することは若干の疑問点も残るものである. 果物は殆んどが好まれているが, 嗜好度合は多汁性で, 軟らかいもの, 酸味の刺戟の少ないものが好まれる傾向にある. デンプン類は他の食品同様に軟らかいものの方が好まれ, 硬いものは敬遠されている. 飲物については殆んど好まれるが, 紅茶, ジュースが好きでも, 日本茶, 緑茶は嫌われていて, 悪い水を飲む方に偏っている. 菓子類ではソフトなもの, 甘味のやわらかいものが好まれ, 甘味の強いものは好まれていない傾向にあり, 一般に日本古来の菓子は嫌われる. 魚貝類については, ニボシ, メザシといった骨のあるものなど, また食べるのにめんどうなものなど嫌われ, 総体的に魚貝を嫌いの傾向強く, 海草は殆んど嫌われている. 結論的に, 歯牙, 骨格の形成に必要な好ましい食品は殆んどといってよい程嫌われ, 反面好ましくない食品に嗜好が偏るという困った傾向があり, 今後の妊婦教育や学校教育, また学校給食などにも食生活について一層の考慮を払わなければならないときがきたと痛感するのである.
ISSN:0583-1199