57 乳歯根管治療のX線観察
乳歯及びごく少数の幼若水久歯の根管充填予後について, 当財団東京診療所で経験している臨床的, X線的観察の一端を報告した. 観察対象歯は根管充填材により, 酸化亜鉛ユージノール・フォルモクレゾールペースト群55人・63歯(水久歯1歯を含む)と, 水酸化カルシウム剤ヴィタペックス群59人・63歯(水久歯1歯を含む)の2群総数114人・126歯であり, その観察期間は, FC群で最短4ヵ月から最長83ヵ月, ヴィタペックス群で最短4ヵ月から最長16ヵ月にわたるものである. なお, 歯内療法術式や適応歯の判定一切は, いずれも伝統的な方法がとられた. 〔まとめ〕観察結果から次の様な結論と将来に対する...
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Veröffentlicht in: | 小児歯科学雑誌 1978, Vol.16 (2), p.413-414 |
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Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 乳歯及びごく少数の幼若水久歯の根管充填予後について, 当財団東京診療所で経験している臨床的, X線的観察の一端を報告した. 観察対象歯は根管充填材により, 酸化亜鉛ユージノール・フォルモクレゾールペースト群55人・63歯(水久歯1歯を含む)と, 水酸化カルシウム剤ヴィタペックス群59人・63歯(水久歯1歯を含む)の2群総数114人・126歯であり, その観察期間は, FC群で最短4ヵ月から最長83ヵ月, ヴィタペックス群で最短4ヵ月から最長16ヵ月にわたるものである. なお, 歯内療法術式や適応歯の判定一切は, いずれも伝統的な方法がとられた. 〔まとめ〕観察結果から次の様な結論と将来に対する配慮を得た. 1)適応歯の選択として, 種々な理由により, 完全失活乳歯又は退行変性歯髄乳歯に対しては, 疼痛, 動揺, 軟組織の変化, X線的所見, 歯牙の内部状況など, 適正な情報を集合し, 小児の年齢, 行動管理なども考慮の上, 保存可能な症例は安易に抜去せず, 根管処置を試みる必要があること. 2)根管処置は基本的には, 成人に応用される術式に従うが, 化学的な清掃拡大の効果を重要視すると共に, 決して根端終末部をインスッルメントで刺激しないこと. 3)使用薬剤は可及的に抗菌作用が強力でも, 刺激性の低いものを使用すること. 4)マルチプル・アポイントメントの結果, 根端付近に改善が示された場合は, 根管充填に進むべきであること. 但し, 根充剤は吸収性のものが良いと思われる. 5)今回の根充剤は, 自家製FC糊剤とヴィタペックスであるが, 根本的な薬効の差は認められなかった. しかし, 根端付近の骨の増生ではヴィタペックスの方がやや早い様に思われること, 更に, 根充が容易で迅速なことは有利であり, 根端孔, 或いは, 根管外に多少の漏洩があっても疼痛の原因とはならないこと. 6)今回発表の全症例中, X線的に乳歯の根管処置が原因で後継水久歯胚に重篤な影響を与えたものはなかった. しかし, 判定には更に長期の観察が必要と思われる. |
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ISSN: | 0583-1199 |