54 ヒト乳歯生活歯髄切断の予後に関する病理組織学的研究 ―特にFRについて

日常の小児歯科臨床に従事するにあたって, 乳歯列の完成をまたず, 乳歯のう蝕が多発し, しかもまたたく間に歯髄処置を必要とする状態となっている場合が非常に多い. ところが, 乳歯はその解剖学的形態や, 歯根の生理的吸収など永久歯とは異なった特徴を有しているため, 可及的に歯髄を保存することが要求される. そのため歯髄処置を施す場合には, 水酸化カルシウム製剤, 酸化亜鉛ユージノール製剤, ホルムクレゾールを主剤とした薬剤を用いた乳歯の生活歯髄切断の予後に関して再検討するとともに, 現在までほとんど報告をみないグアヤコール・ホルムアルデヒドの縮合物であるFRについて病理組織学的に検索した結果,...

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Veröffentlicht in:小児歯科学雑誌 1978, Vol.16 (2), p.412-412
Hauptverfasser: 木村光孝, 藤田雅人, 品川光春, 糸瀬勝成, 豊田松三道, 山本和隆
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:日常の小児歯科臨床に従事するにあたって, 乳歯列の完成をまたず, 乳歯のう蝕が多発し, しかもまたたく間に歯髄処置を必要とする状態となっている場合が非常に多い. ところが, 乳歯はその解剖学的形態や, 歯根の生理的吸収など永久歯とは異なった特徴を有しているため, 可及的に歯髄を保存することが要求される. そのため歯髄処置を施す場合には, 水酸化カルシウム製剤, 酸化亜鉛ユージノール製剤, ホルムクレゾールを主剤とした薬剤を用いた乳歯の生活歯髄切断の予後に関して再検討するとともに, 現在までほとんど報告をみないグアヤコール・ホルムアルデヒドの縮合物であるFRについて病理組織学的に検索した結果, いささかの知見を得たので報告した. 研究材料ならびに研究方法:研究材料は九州歯科大学附属病院保存部小児歯科外来を訪れた小児患者から得られたもので, 臨床的には健康歯・第2度う蝕歯などで便宜抜去が必要と診断された上下顎乳前歯である. 生活歯髄切断糊剤は水酸化カルシウム製剤からCalvital, Dycal, ホルムクレゾールを主剤とした新パルパックV, アグヤコール・ホルムアルデヒド(FR)である. 病理組織学的にはCalvitalの例では, 3日目頃から石灰化が始まり, 35日経過後には切断面は象牙質柵の形成により被覆保護され, Dycal, FRの例では歯髄表層部には硝子様化がおこるが石灰沈着により, Calvitalより幾分遅れるが62日迄には象牙質柵の形成が認められた. 新パルパックVでは3日目頃には, 膿球層の形成がみられ, 62日経過例においても象牙質柵形成は認められなかった. 以上, 本研究に関しては, 内部吸収は認められなかった.
ISSN:0583-1199