色素失調症にみられた歯の欠如と遺伝学的考察

色素失調症(Incontinentia pigmenti, Bloch-Sulzberger症候群)は, 部分無歯症をひき起こす疾患の1つで, これまでに諸外国では653例1), わが国においては180例2)の報告がある. 主症状は出産時あるいは生後まもなく発生する皮膚の紅斑・水疱・疣状皮疹および, ひき続いて起こる特異な網状・列序性の灰褐色の色素沈着で, 急性症状は数ヵ月以内におさまり, 色素沈着も20代までには自然に消褪する3~5). 合併症としては, 頭頂部の部分脱毛症(38%), 歯(65%), 眼(35%), 中枢神経系(31%), 骨(14%)などの異常が報告されている1). 本疾...

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Veröffentlicht in:小児歯科学雑誌 1978/04/25, Vol.16(1), pp.98-106
Hauptverfasser: 林, 芳隆, 小柴, 宏明, 中田, 稔
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:色素失調症(Incontinentia pigmenti, Bloch-Sulzberger症候群)は, 部分無歯症をひき起こす疾患の1つで, これまでに諸外国では653例1), わが国においては180例2)の報告がある. 主症状は出産時あるいは生後まもなく発生する皮膚の紅斑・水疱・疣状皮疹および, ひき続いて起こる特異な網状・列序性の灰褐色の色素沈着で, 急性症状は数ヵ月以内におさまり, 色素沈着も20代までには自然に消褪する3~5). 合併症としては, 頭頂部の部分脱毛症(38%), 歯(65%), 眼(35%), 中枢神経系(31%), 骨(14%)などの異常が報告されている1). 本疾患の原因についてはまだ確定的とはいえないが, 伴性優性遺伝によるという説が有力であり, この遺伝子を持つ男性は死亡, すなわち致死遺伝子となるといわれている6). 今回われわれはその4家系7症例に遭遇する機会を得たので, その歯科的所見について報告する.
ISSN:0583-1199
2186-5078
DOI:10.11411/jspd1963.16.1_98