53 外胚葉性異形成症の3症例
外胚葉異形成症は, 外胚葉の組織, 器官に形成異常をきたす疾患である. 今回演者らは, 本学歯学部外来を訪れた患児で外胚葉異形成症に随伴し部分的無歯症と診断した3症例を経験したので, それらの遺伝的背景および歯科的所見をのべるとともに, このうちの一症例には咀嚼機能の改善を計ったので報告する. 症例I. 患児:T.K. 1歳0ヵ月, 男児. 主訴;歯の萠出遅延. 家族歴:患児の祖父および母親に外胚葉性の異常を認めた. 既往歴:悪阻の状態は重くなく, 分娩は正常. 生下時体重:2,960g, 大病の既往なし. 現症:顔貌は老人様顔貌で頭髪やや薄く眉毛, 睫毛は少ない. 口唇は外翻している歯は未萠...
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Veröffentlicht in: | 小児歯科学雑誌 1977, Vol.15 (3), p.408-408 |
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Hauptverfasser: | , , |
Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 外胚葉異形成症は, 外胚葉の組織, 器官に形成異常をきたす疾患である. 今回演者らは, 本学歯学部外来を訪れた患児で外胚葉異形成症に随伴し部分的無歯症と診断した3症例を経験したので, それらの遺伝的背景および歯科的所見をのべるとともに, このうちの一症例には咀嚼機能の改善を計ったので報告する. 症例I. 患児:T.K. 1歳0ヵ月, 男児. 主訴;歯の萠出遅延. 家族歴:患児の祖父および母親に外胚葉性の異常を認めた. 既往歴:悪阻の状態は重くなく, 分娩は正常. 生下時体重:2,960g, 大病の既往なし. 現症:顔貌は老人様顔貌で頭髪やや薄く眉毛, 睫毛は少ない. 口唇は外翻している歯は未萠出, X線所見ではE┴Eの歯胚のみ認める. 症例II. 患児:J.S, 2歳1ヵ月, 男児. 主訴:歯の萠出遅延. 家族歴:患児の叔父および母親に外胚葉性の異常を認めた. 既往歴:妊娠中悪阻は重く, 蛋白尿(+), 浮腫もひどかった. 生下時体重3,200g, 生後10日同疾患と診断された. 現症:頭髪, 眉毛, 睫毛はやや薄いが著しくない. 口唇は外翻している. 慢性萎縮性鼻炎を病っている. X線所見では6C ┴CE6/6ca┬ac6を認めた. 症例III. 患児;Y.O, 3歳3ヵ月, 男児. 主訴:義歯の装着. 家族歴:患児の祖父, 母親および姉に外胚葉性の異常を認めた. 既往歴:妊娠中悪阻はひどく, 分娩は吸引分娩であった. 生下時体重1,670g, 生後2日より原因不明の発熱が続き, 慈恵医大で同疾患と診断される. 現症:四肢は細く発育不良である. 老人様顔貌を呈し, 頭髪, 眉毛は薄く逆さ睫毛であった. 耳珠に形態異常を認めた. 鞍状鼻を呈し口唇は外翻している. 萠出歯はE┴Eのみで小さく軽度の形態異常を認めた. X線所見では6┴6の歯胚のみ認めた. 処置として, 義歯の作成を実施し咬合高径の回復を計るとともに, 咀嚼機能障害, 審美性の改善を計った. これらの3症例の原因として遺伝的問題が考慮され, 各家系を追った結果, その遺伝的形質が体性劣性的に継受され発現していた. 今後の問題として, 顎頭蓋の発育途上であることから今後の経過観察が必要である. また他の2症例については, 患児の理解力と協力の得られる年齢まで経過観察を行い, 同様の処置を施す予定である. |
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ISSN: | 0583-1199 |