48 ネオダインEZペーストの歯髄に及ぼす影響について
昭和51年度日本小児歯科学会例会において“ネオダインEZペーストの臨床成績”と題し, 本材が他の類似の仮封材に比べ操作性並びに仮封効果において秀れていることを報告したが, そこで今回は, 本材が歯髄に対していかなる影響を及ぼすかについて臨床病理学的検索を行った. 被検対象は東京歯科大学病院小児歯科外来を訪れた年齢10歳4カ月から13歳10カ月までの患者より得られた矯正治療上要抜去と診断された幼若生活永久歯17歯であり, これらに対し局所麻酔下に, エアタービンを用いてBlackのV級窩洞を形成した後, 電気エンジンにて窩洞の修正を行った. 次いで窩底に使用指示書に従い練和した本材を貼布し, そ...
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Veröffentlicht in: | 小児歯科学雑誌 1977, Vol.15 (2), p.296-297 |
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Hauptverfasser: | , , , , |
Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 昭和51年度日本小児歯科学会例会において“ネオダインEZペーストの臨床成績”と題し, 本材が他の類似の仮封材に比べ操作性並びに仮封効果において秀れていることを報告したが, そこで今回は, 本材が歯髄に対していかなる影響を及ぼすかについて臨床病理学的検索を行った. 被検対象は東京歯科大学病院小児歯科外来を訪れた年齢10歳4カ月から13歳10カ月までの患者より得られた矯正治療上要抜去と診断された幼若生活永久歯17歯であり, これらに対し局所麻酔下に, エアタービンを用いてBlackのV級窩洞を形成した後, 電気エンジンにて窩洞の修正を行った. 次いで窩底に使用指示書に従い練和した本材を貼布し, その上にアマルガム充填を施した. これらの被検歯について最短5日から最長99日に亡る各種期間臨床的に詳細に観察した後抜去し, 通法に従いツエロイジン包埋連続切片を作製し, 病理組織学的に検索を行った. その結果臨床的には全例とも術後より抜去時まで何ら不快症状の発現は認められず, 従って全例とも臨床成績良好と判定された. 一方病理組織学的には歯髄及び象牙質に種々の変化が認められたが, 実験日数の短い症例ほど歯髄充血・出血・円形細胞浸潤, 造歯細胞層の変化などの破壊性病変が強く現れる傾向を認めた. 他方, 予成象牙質の肥厚, 補綴象牙質の新成などの修復性変化は比較的長期の症例に認められた. これらの病理組織学的所見から病理成績を判定すると, 良好10例(58.8%), 概良6例(35.8%), 不良1例(5.8%)であった. なお, 不良例は本研究における最短期例である5日経過例であった. 以上の所見より, 木材は臨床的には歯髄刺激性は殆んどないものと思われる. 一方病理組織学的には, 歯髄の組織変化を認めたが, 全体的傾向として期間の経過に従って破壊性変化が消退し, かわって修復性変化が出現していた. ところで, 歯髄の組織変化は窩洞形成刺激のみによっても惹起されることは多くの研究により明らかである. しかも本研究の結果認められた歯髄の組織変化はこれらの研究のそれと殆んど同程度であった. 従って本材は歯髄に対し殆んど為害性を有しないものと推察された. なお, 本研究の結果のみからは, 積極的な歯髄鎮静作用は立証し得なかった. |
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ISSN: | 0583-1199 |