37 フッ化ジアンミン銀の齲蝕抑制効果(1)歯垢中におけるStr. mutansの消長

小児歯科治療の分野で広く使用されているフッ化ジアンミン銀の抗菌作用に注目し, 歯垢中の齲蝕原因菌の1種と考えられているStr. mutansの検出を行ない, 更にブラッシングやフッ化ジアンミン銀塗布などの処置を行った場合, 歯垢中のStr. mutansが経時的にどの様に変化するかを検討した. 〔材料及び方法〕札幌市内の保育園児101名を対象に歯垢を採取し, Str. mutansの検出をした. そのうち33名については, 歯垢中のStr. mutansの変動を追跡できた. 歯垢採取部位は, 上顎左側乳犬歯で, エナメル質の白濁のあるものC0, エナメル質の実質欠損のあるものC1, 象牙質にま...

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Veröffentlicht in:小児歯科学雑誌 1976, Vol.14 (2), p.264-265
Hauptverfasser: 森岡正人, 伊沢裕美子, 大内和憲, 五十嵐清治, 岡田泰紀, 谷宏, 河原真知子, 鈴木武
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:小児歯科治療の分野で広く使用されているフッ化ジアンミン銀の抗菌作用に注目し, 歯垢中の齲蝕原因菌の1種と考えられているStr. mutansの検出を行ない, 更にブラッシングやフッ化ジアンミン銀塗布などの処置を行った場合, 歯垢中のStr. mutansが経時的にどの様に変化するかを検討した. 〔材料及び方法〕札幌市内の保育園児101名を対象に歯垢を採取し, Str. mutansの検出をした. そのうち33名については, 歯垢中のStr. mutansの変動を追跡できた. 歯垢採取部位は, 上顎左側乳犬歯で, エナメル質の白濁のあるものC0, エナメル質の実質欠損のあるものC1, 象牙質にまで達しているものC2として, 各々の唇面歯頸部よりポケット探針にて歯垢採取し, 光岡の稀釈液に冷却保存した. なお, 実験に供した歯垢は, 初診時歯垢をコントロール(1回目)とし, ブラッシング1週間後の歯垢(2回目), ブラッシング+フッ化ジアンミン銀塗布1週間後の歯垢(3回目)とした. 歯垢採取後2時間以内に10倍稀釈法にて5段階まで稀釈し, 各々の0.1mlをそれぞれの培地に塗抹し, 37℃, 48時間嫌気的に培養した. ただし, 総菌数の測定にはアネローブ寒天培地(栄研)を用いStr. mutansの測定にはMS培地(Difco)を基礎に, 庶糖濃度20%, Bacitracin0. 2unit/ml添加したGold et alの培地を用いた. 〔結果〕1)Str. mutansは101名中74名, 73. 3%検出された. 口腔内に1本以上齲蝕のある者のStr. mutans検出率は77. 6%, 口腔内に齲蝕のない者のStr. mutans検出率は50. 0%, 採取部位が齲蝕の者のStr. mutans検出率は93. 7%, 採取部位が齲蝕でない者のStr. mutans検出率は54. 7%でした. 2)歯垢中のStr. mutans量は, 初診時と2回目, ブラッシング1週間後では, 有意な変動は見られなかったが, 初診時と3回目, ブラッシング及びフッ化ジアンミン銀塗布1週間後では, 5%の危険率で有意に減少した. 〔まとめ〕歯垢中のStr. mutansは, 口腔内に齲蝕が多く, 採取部位に齲蝕のある者ほど高頻度に検出される. ブラッシングでは, 歯垢中のStr. mutans比率に影響を与えないが, ブラッシング+フッ化ジアンミン銀塗布によれば, 率は減少する. すなわちフッ化ジアンミン銀は, 歯垢中のStr. mutansの発育に影響を及ぼしていると考えられる.
ISSN:0583-1199