22 クラウン・ループ保隙装置の臨床的観察 第1報クラウン・ループ保隙装置装着の実態について

第1乳臼歯あるいは第2乳臼歯の早期喪失により, クラウン・ループ保隙装置の適応症となる症例は多い. 半固定保隙装置であるクラウン・ループはループの末端がフリーであるため, ループの末端と歯との接触位置が変りやすく, その結果, ループの歯肉へのくいこみ, それによる潰瘍形成, さらに装置の脱落などのトラブルをおこしやすい. また喪失部の後継永久歯萠出前に支台歯やループとの接触歯が脱落し, 装置の撤去を余儀なくされる場合もある. 咬合誘導の点からすると, クラウン・ループの保隙装置としての効果の判定にあたっては, 喪失部の後継永久歯の萠出, ひいては永久歯列咬合の完成時までの観察が要求される....

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Veröffentlicht in:小児歯科学雑誌 1976, Vol.14 (2), p.257-258
Hauptverfasser: 斉藤峻, 新里正武, 青山庸子, 真柳秀昭, 五十嵐公英, 南雲雅子, 神山紀久男
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:第1乳臼歯あるいは第2乳臼歯の早期喪失により, クラウン・ループ保隙装置の適応症となる症例は多い. 半固定保隙装置であるクラウン・ループはループの末端がフリーであるため, ループの末端と歯との接触位置が変りやすく, その結果, ループの歯肉へのくいこみ, それによる潰瘍形成, さらに装置の脱落などのトラブルをおこしやすい. また喪失部の後継永久歯萠出前に支台歯やループとの接触歯が脱落し, 装置の撤去を余儀なくされる場合もある. 咬合誘導の点からすると, クラウン・ループの保隙装置としての効果の判定にあたっては, 喪失部の後継永久歯の萠出, ひいては永久歯列咬合の完成時までの観察が要求される. 演者らは昭和46年5月より昭和50年12月末までに, 東北大学歯学部附属病院小児診療室で咬合管理のルートにのった496名の患者のうち, クラウン・ループ保隙装置を装着した117名(23. 6%)について臨床的観察を行い次の所見を得た. 装着部位別にみると, 第1乳臼歯喪失の方が第2乳臼歯喪失よりも多く, 約3倍におよんでいた. また同一患者で2症例もっているものは117名中21名いた. 138症例中, クラウン・ループ保隙装置装着前に, 他の保隙装置やスペース・リゲーナーが装着されていたものが24例あった. 喪失歯の抜去時期については, 第1乳臼歯では4歳台が最も多く, 第2乳臼歯では6歳台が最も多かった. 装着時期については, 第1乳臼歯喪失に対して用いた装置では3歳から6歳にかけての広がりが見られたのに対し, 第2乳臼歯喪失の場合には6歳台が特に多かった. 抜歯より装着までの期間については, 前装置がない症例では, 3週間が最も多く, 抜歯後4週間以内での装着が50%以上を占めていた. 装着期間については, ほとんどが3年までのもので, 昭和50年12月末現在, 装着中のもの114例, 撤去されたもの23例, 不明1例であった. 撤去症例中, 後継永久歯萠出によりループカットしたもの9例, 正常でのトラブル11例, 異常でのトラブル1例, 他の装置への交換1例であった. トラブルの内容については, ループの歯肉へのくいこみが最も多く, 次いで脱落, 潰瘍形成, 破折の順であった.
ISSN:0583-1199