23 低年齢幼児の齲蝕疫学的研究 第4報:乳児院の齲蝕罹患状況と保育環境について
近年, わが国の小児の齲蝕症が増加し, 低年令化の傾向にあることが疫学的調査より明らかにされている. わが国の乳歯齲蝕は萠出後1年以内に多くが発生するといわれており, 齲蝕の原因については近年庶糖との関係が注目されている. 従って, 齲蝕の発生も授乳期よりの, 糖質食品を中心とする食生活環境, すなわち摂取量, 摂取方法などと深い関係にあると思われる. しかし, 一般家庭児の食生活を客観的に評価することは困難であり, 十分解明されてはいない. 今回我々は, 集団的に保育されている東京都および近辺の乳児院8ヵ所, 294名について, 齲蝕罹患状況と食生活環境との関係について検討してみた. その結...
Gespeichert in:
Veröffentlicht in: | 小児歯科学雑誌 1975, Vol.13 (3), p.300-300 |
---|---|
Hauptverfasser: | , , , , , , , , |
Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
Tags: |
Tag hinzufügen
Keine Tags, Fügen Sie den ersten Tag hinzu!
|
Zusammenfassung: | 近年, わが国の小児の齲蝕症が増加し, 低年令化の傾向にあることが疫学的調査より明らかにされている. わが国の乳歯齲蝕は萠出後1年以内に多くが発生するといわれており, 齲蝕の原因については近年庶糖との関係が注目されている. 従って, 齲蝕の発生も授乳期よりの, 糖質食品を中心とする食生活環境, すなわち摂取量, 摂取方法などと深い関係にあると思われる. しかし, 一般家庭児の食生活を客観的に評価することは困難であり, 十分解明されてはいない. 今回我々は, 集団的に保育されている東京都および近辺の乳児院8ヵ所, 294名について, 齲蝕罹患状況と食生活環境との関係について検討してみた. その結果, 齲蝕罹患状況は, 者率, 歯率, 一人平均罹患歯数など, 一般罹患状況はきわめて低い値を示し, 罹患歯はほとんどが上顎乳中切歯でありひとつの特徴を示した. また, 在所期間が長いほどかなりの年令でも罹患が少ないことが明らかにされた. 食餌摂取状況は, 一般家庭児と乳児院児とでは, 大きな差が認められ, 特に糖質摂取が少なく, 間食の熱量が総熱量に占める割合は, 乳児院14%, 家庭児25%, 回数は乳児院2回, 家庭児4回以上となっている. 砂糖摂取状況は, 1日平均乳児院約30gに対し, 家庭児約80gであった. また, 乳児院間にも差が認められ, 集団保育の中での保育環境の違い, 食餌の与え方などが問題として考えられた. 間食, 特に砂糖を中心に, 食生活の具体的な摂取状況と齲蝕との関係を知ることが, 臨床上のひとつの目標となると思われ, 養育側の管理下で, 食生活がなされている乳児院の結果がひとつの傾向を示したものと思われる. |
---|---|
ISSN: | 0583-1199 |