18 本学小児歯科診療室において蒐集したStreptococcus mutansの菌型について

齲蝕の原因菌として, 1924年Clarkeが齲窩から分離したStrptococcus mutansが注目され, 各方面でその研究がなされている. 小児歯科においても齲蝕の罹患が低年令化の傾向にあり, 特に予防の必要性, 重要性がさけばれている時, この原因菌であるStr. mutansについて探求していくことは, 臨床に密接した基礎研究として予防対策上価値あることと考えている. そこで我々は, その第一歩として現在本学小児歯科診療室に来院している小児のうち一般的口腔診査によりnon-cariesと認めた2才3ヵ月から6才4ヵ月までの乳歯列期の男児31名, 女児42名, 計73名について下顎第...

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Veröffentlicht in:小児歯科学雑誌 1975, Vol.13 (3), p.297-298
Hauptverfasser: 原秀一, 鈴木啓之, 中川洋子, 広木彦吉, 美野輪雅子, 杉山織江
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:齲蝕の原因菌として, 1924年Clarkeが齲窩から分離したStrptococcus mutansが注目され, 各方面でその研究がなされている. 小児歯科においても齲蝕の罹患が低年令化の傾向にあり, 特に予防の必要性, 重要性がさけばれている時, この原因菌であるStr. mutansについて探求していくことは, 臨床に密接した基礎研究として予防対策上価値あることと考えている. そこで我々は, その第一歩として現在本学小児歯科診療室に来院している小児のうち一般的口腔診査によりnon-cariesと認めた2才3ヵ月から6才4ヵ月までの乳歯列期の男児31名, 女児42名, 計73名について下顎第2乳臼歯咬合面の小窩裂溝および上顎乳中切歯唇面歯頸部から歯垢を採取し, Str. mutansの検出を試み, その生物学的性状を検査し, 菌型の分類を行なった. 菌型分類法には, 血清学的性状, 生物学的性状, 核酸組成など多くの方法があるが, いずれも煩雑で実際的には, 数多い資料について実施することは容易でない. そこで我々は, 最も新しく実施方法が簡単な生物学的分類法であるShklairの方法を使用した. 分類に使用した供試炭水化物としては, Inulin, Sorbitol, Mannitol, Raffinose, Melibioseの5種類及びArginineよりNH3の産生状況を検査した. その結果, 1)non-caries児からのStr. mutansの検出率は, 73名中, 14名で19. 2%であった. 検出菌株は, 16菌株である. 2)検出においてフッ素塗布経験の有無や採取部位による差異はみられなかった. 3)Str. mutansの菌型分類法として生物学的分類法であるShklairの方法を使用した. その結果, 検出した16菌株は, a型, b型, d型, e型がまったく検出されず, すべてがC型であった. すなわちMannitol, Sorbiol, Raffinose, Melibiose, Mannitol+bacitracinを分解するが, ArginineからNH3を産生しないタイプのものである. 4)16菌株すべてが, Inulinを分解した. 以上これらの結果と, 臨床的結びつきについては, 今後の研究によると思われる.
ISSN:0583-1199