15 第1乳臼歯咬合面展開角について(第1報)
乳臼歯における咬合面展開角を明らかにすることは, 乳歯列あるいは混合歯列の咬合問題を解明する上において極めて重要な事であると同時に, また乳歯充填における充填物辺縁角度を類推し, 適切な充填を施す上においても大いに役立つものと考えた. そこで演者らはこの点を解明すべく本研究を企画した. 研究資料は東京歯科大学小児歯科臨床を訪ずれた年令3才の正常乳歯列を有する日本人男女35名から印象採得して得られた全顎石膏模型中, 上下顎左側第1乳臼歯が健全でしかも咬耗の少ないものを, 上下顎各々20歯選択して得られた超硬石膏模型である. 研究方法は, 上記模型を樹脂に包埋後, 辺縁隆線部を起始点とし, 頬舌的...
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Veröffentlicht in: | 小児歯科学雑誌 1974, Vol.12 (2), p.173-173 |
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Hauptverfasser: | , , , |
Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 乳臼歯における咬合面展開角を明らかにすることは, 乳歯列あるいは混合歯列の咬合問題を解明する上において極めて重要な事であると同時に, また乳歯充填における充填物辺縁角度を類推し, 適切な充填を施す上においても大いに役立つものと考えた. そこで演者らはこの点を解明すべく本研究を企画した. 研究資料は東京歯科大学小児歯科臨床を訪ずれた年令3才の正常乳歯列を有する日本人男女35名から印象採得して得られた全顎石膏模型中, 上下顎左側第1乳臼歯が健全でしかも咬耗の少ないものを, 上下顎各々20歯選択して得られた超硬石膏模型である. 研究方法は, 上記模型を樹脂に包埋後, 辺縁隆線部を起始点とし, 頬舌的に500μの間隔で切断し, 断面の投影像をトレースした. トレース像上で, 頬舌側咬頭内斜面のなす角度すなわち展開角と, 図面上に画いた仮想窩壁と頬舌側咬頭内斜面のなす角を計測した. 計測結果より咬合面の展開角については, 各症例毎の最大角度の平均値は, 上顎において124度, 下顎においては142度で, 最小角度の平均値は上顎において75度, 下顎においても75度であった. 展開角が90度以上のものが上顎で約70%, 下顎で約80%であった. 窩壁と頬舌側咬頭内斜面とのなす角度については, 各症例毎の最大角度の平均値は上顎頬側部において67.8度上顎舌側部において66.4度であり, 下顎頬側部においては67度, 下顎舌側部においては92度であった. 最小角度の平均値は上顎頬側部において34.1度, 上顎舌側部において31.4度であり, 下顎頬側部においては31度, 下顎舌側部においても31度であった. 窩壁と頬舌側咬頭内斜面とのなす角度は, 30度以上70度未満のものが, 上顎においては88.2%, 下顎においては82.1%であった. 窩壁と頬舌側咬頭内斜面とのなす角度は充填物辺縁のなす角度に相当するが, 上顎左側第1乳臼歯については, 窩壁と頬舌側咬頭内斜面とのなす角度は70度未満のものが約93%を占め, 下顎左側第1乳臼歯におけるそれは約88%であった. このことは町田らのアマルガム充填における辺縁角度についての研究報告とほぼ一致している. また, アマルガム充填に関して, B.Kornfeld等の提唱する90度に近い70度以上90度までのものは顎下第1臼歯の遠心半部にわずかに見られるのみであった. |
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ISSN: | 0583-1199 |