25 乳臼歯髄床底における副根管について
臼歯髄床底部における副根管, 所謂髄管と称されるものが存在している事は多くの成書に記載されているが, それらが如何なる状態で存在しているかについての研究はあまり多くなく, ことに乳臼歯に関する報告は未だ殆ど行われていない. そこで我々は乳臼歯の髄床底部に発現する副根管について形態学的研究を行った. 試料は東京歯科大学小児歯科学教室所蔵の抜去歯牙から吸水や齲蝕等による髄床底部の欠損を認めず, ほぼ完全な状態の乳臼歯73本で, その内訳は, 上顎第1乳臼歯17本, 上顎第2乳臼歯18本, 下顎第1乳臼歯21本, 下顎第2乳臼歯17本である. それぞれの被験歯は通法に従い硝酸アルコールで脱灰後, ツ...
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Veröffentlicht in: | 小児歯科学雑誌 1973, Vol.11 (2), p.252-253 |
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Hauptverfasser: | , , , , , |
Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 臼歯髄床底部における副根管, 所謂髄管と称されるものが存在している事は多くの成書に記載されているが, それらが如何なる状態で存在しているかについての研究はあまり多くなく, ことに乳臼歯に関する報告は未だ殆ど行われていない. そこで我々は乳臼歯の髄床底部に発現する副根管について形態学的研究を行った. 試料は東京歯科大学小児歯科学教室所蔵の抜去歯牙から吸水や齲蝕等による髄床底部の欠損を認めず, ほぼ完全な状態の乳臼歯73本で, その内訳は, 上顎第1乳臼歯17本, 上顎第2乳臼歯18本, 下顎第1乳臼歯21本, 下顎第2乳臼歯17本である. それぞれの被験歯は通法に従い硝酸アルコールで脱灰後, ツェロイジンにて包埋し, 30μ毎に歯軸に直交する横断連続切片とし, H.E染色を施し, 組織学的方法により副根管の有無, 発現本数, 発現部位ならびに形態について検索を行い, さらに髄床底の厚径についても調査した. ところで髄床底の範囲に関する解剖学的基準が未だ判然としていないため, 我々は今回の研究に際し次の基準を設定した. すなわち最も冠側にある根分岐部より600μ根端側を通り歯軸と直交する平面を設定し, これより歯冠側に位置する根間中隔側の髄室壁及び根管壁を本研究における髄床底とした. 本研究の結果, 乳臼歯髄床底部には上下顎何れの歯種においても約70%に副根管が発現している事が判明した. さらにこれらの副根管は種々な形態を示していたが, 従来髄管と称されている歯髄, 歯根膜交通枝は極めて僅かか, あるいは歯種によっては全く認められなかったのに対し, 歯根膜側に始まり象牙質中に終る盲管状のものが比較的多数認められた. また, その発現部位は髄床底中央部に最も多くみられた. そして1歯当りの発現本数はほぼ1~3本であった. 以上のことから, 乳臼歯の歯髄処置にあたっては髄床底部に損傷を与えない様に十分注意を払う必要があると思われた. また若し損傷を与えた場合, 髄室と歯根膜が交通することが大いに考えられるため適切な処置がとられねばならないと考える. |
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ISSN: | 0583-1199 |