12 乳歯生活根管中間位歯髄切断法の臨床・X線的研究

乳歯の生活根管中間位歯髄切断法の臨床・X線的予後を知るために本研究を企画した. 調査対象は東京歯科大学小児歯科臨床を訪れた年令2才7ヵ月から9才0ヵ月までの小児患者の生活乳歯に水酸化カルシウム製剤“カルビタール”を応用して, 生活根管中間位歯髄切断法を実施した200歯である. 観察方法は術前に詳細な臨床検査, X線診査を行い, 術後も患者に可及的定期的に来院を求め, その都度, X線診査及び自他覚症状の有無並びにその経過, 消長などを詳細に観察記録した. その結果は以下の如くである. 1)術後, 臨床的に不快症状を発現した症例は自発痛2例, 打診に対する不快感2例であり, これら2症状は1人の...

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Veröffentlicht in:小児歯科学雑誌 1972, Vol.10 (2), p.195-195
1. Verfasser: 田口勝俊
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:乳歯の生活根管中間位歯髄切断法の臨床・X線的予後を知るために本研究を企画した. 調査対象は東京歯科大学小児歯科臨床を訪れた年令2才7ヵ月から9才0ヵ月までの小児患者の生活乳歯に水酸化カルシウム製剤“カルビタール”を応用して, 生活根管中間位歯髄切断法を実施した200歯である. 観察方法は術前に詳細な臨床検査, X線診査を行い, 術後も患者に可及的定期的に来院を求め, その都度, X線診査及び自他覚症状の有無並びにその経過, 消長などを詳細に観察記録した. その結果は以下の如くである. 1)術後, 臨床的に不快症状を発現した症例は自発痛2例, 打診に対する不快感2例であり, これら2症状は1人の患児の2症例に限局して発現しており, その程度はいずれも軽微で術後1日目より9日目まで持続し, その後最終観察時点の218日に至るまで何らの不快症状も訴えなかった. X線的には2例共象牙質牆が観察された. 2)著明な動揺を示した症例が16例あったが, X線的に16例中10例は生理的歯根吸収によるものと判定され, 6例は内部吸収によるものと判定された. 3)温, 冷に対する知覚過敏及び軟組織における発赤, 腫脹, 圧痛, 痩孔形成, 排膿などの臨床的不快症状は1例も認められなかった. 4)X線的に象牙質牆が明瞭に観察された症例は200例中125例62. 5%で, 早いものでは10日前後に象牙質牆が確認されることが判明した. 5)X線的に内部吸収が200例中に6例に観察され, 12例中8例に象牙質牆が確認された. いずれも内部吸収の発現後は進行性に拡大していた. 6)その他のX線所見としては, 根端病巣の発現1例, 根管内石灰化による根管の狭窄17例であった. 7)以上の臨床所見及びX線所見を総合すると, 良好185例92. 5%, 不良15例7. 5%と判定された.
ISSN:0583-1199